結論:都立入試の内申は65点満点のうち、実技4教科が40点を占めます。5教科の25点より、実技のほうが重い計算です。
音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は、評定が2倍になります(国語・数学・英語・社会・理科は1倍)。
7対3の入試では、内申は300点に換算されます。実技1教科の評定が1上がると、約9.2点です。
5教科の学力検査の素点に直すと、およそ6.6点にあたります。
この記事では、実技の評定が上がると合計点がどう動くかを、具体的な点数で示し、教科ごとの上げ方を整理しました。
点数の換算は、実施要綱の「学力検査:調査書点=7:3(1,000点)」から、この記事で計算した試算です。
内申の計算式そのものは、都立高校の内申点の計算方法で解説しています。この記事は、「実技で内申をどう上げるか」に絞っています。
⚖️ 実技4教科は、内申の6割を占める
都立高校の一般入試の調査書点は、中学3年の9教科の評定から決まります。
実施要綱では、学力検査を行う教科(国語・社会・数学・理科・英語)は1倍、行わない教科は2倍で数えます。
学力検査を行わない教科が、音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科(実技4教科)です。
| 区分 | 教科 | 倍率 | 評定の満点(5段階) |
|---|---|---|---|
| 5教科 | 国語・社会・数学・理科・英語 | 1倍 | 5点×5教科=25点 |
| 実技4教科 | 音楽・美術・保健体育・技術家庭 | 2倍 | 10点×4教科=40点 |
| 合計 | 9教科 | — | 65点 |
40点÷65点=約62%です。
つまり、同じ通知表でも、実技4教科の評定が、内申の6割以上を決めています。
「主要5教科より、実技のほうが重い」という見方は、都立の計算では正しいのです。
🔢 評定1つの価値を、点数で比べる
7対3の入試では、調査書点の65点満点が300点に換算されます(300÷65=約4.6点/1点)。
学力検査は、5教科500点が700点に換算されます(素点1点=1.4点)。
この2つを使って、「評定1つ」と「素点」の価値を比べます。
| 上げるもの | 換算後の点数 | 学力検査の素点では |
|---|---|---|
| 実技1教科の評定を1上げる | 約9.2点(2×4.6) | 約6.6点分 |
| 5教科の1教科の評定を1上げる | 約4.6点 | 約3.3点分 |
| 実技4教科の評定をすべて1上げる | 約36.9点 | 約26点分 |
| 学力検査の素点を10点上げる | 14点(10×1.4) | 10点 |
ここがポイント
実技の評定を1つ上げる価値は、5教科の素点なら6〜7点に相当します。
5教科の素点を6〜7点上げるには、かなりの勉強時間が必要です。
一方、実技の評定は、提出物・授業態度・実技テストなど、日々の積み重ねで動かせる部分が大きい教科です。
🔄 逆転シミュレーション:5教科が3でも、実技で追いつく
内申がどう組み合わさるかで、300点換算の点数がどう変わるかを、7つのパターンで計算しました。
「5教科の評定」と「実技4教科の評定」は、それぞれ全教科が同じ値だった場合の例です。
| 5教科の評定 | 実技4教科の評定 | 65点満点 | 300点換算 |
|---|---|---|---|
| 3 | 3 | 39 | 180.0点 |
| 3 | 4 | 47 | 216.9点 |
| 4 | 3 | 44 | 203.1点 |
| 4 | 4 | 52 | 240.0点 |
| 3 | 5 | 55 | 253.8点 |
| 5 | 3 | 49 | 226.2点 |
| 5 | 5 | 65 | 300.0点 |
注目してほしい比較は、次の2つです。
- 5教科が3・実技が5:253.8点。5教科が5・実技が3:226.2点。実技を5にしたほうが、27.7点高くなります。
- 5教科が3・実技が4:216.9点。5教科が4・実技が3:203.1点。実技を1上げたほうが、13.8点高くなります。
もちろん、5教科の評定も上げたほうが、学力検査の準備にも役立ちます。
ただ、時間が限られた中3の秋は、「実技は点が動きやすい」という事実を、戦略に入れておく価値があります。
🧮 内申が足りないとき:学力検査の素点で何点取り返せるか
7対3の入試では、調査書点の1点は、学力検査の素点に直すと約0.71点です(1÷1.4)。
内申が低いと感じたとき、「学力検査で何点上積みすれば、同じ合計点になるか」を、目安として次の表にまとめました。
| 調査書点(300点換算)の差 | 学力検査の素点で必要な上積み | 実技の評定に直すと |
|---|---|---|
| 5点 | 約3.6点 | 実技1教科の評定を約0.5上げたぶん |
| 10点 | 約7.1点 | 実技1教科の評定を約1上げたぶん |
| 20点 | 約14.3点 | 実技2教科の評定を1ずつ上げたぶん |
| 37点 | 約26.4点 | 実技4教科の評定をすべて1上げたぶん |
たとえば、実技4教科の評定が全て1低い生徒は、5教科の素点で、約26点(5教科合計500点満点の約5%)多く取る必要がある計算です。
逆に、実技を1ずつ上げられれば、学力検査の勉強量を減らせる可能性もあります。
この表は試算で、実際の合否は、志望校の毎年の状況によって変わります。
📐 学力検査との比率:7対3、6対4、そして令和9年度の新しい方式
東京都教育委員会の実施要綱によると、全日制の第一次募集では、学力検査と調査書点の比率は7対3が基本で、合計は1,000点です。
芸術・体育系の学科は6対4です。
このほかに、スピーキングテストの結果が20点満点で別に加えられ、総合得点は1,020点になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基本の比率 | 学力検査700点+調査書点300点=1,000点(7対3) |
| 芸術・体育系の学科 | 6対4(学力検査600点+調査書点400点) |
| スピーキングテスト | 20点満点を別に加算(総合得点1,020点) |
| 令和9年度の変更点 | 全日制普通科の2校で、7対3と10対0の両方を計算し、本人にとって高いほうを採用する方式を新たに実施 |
学校によって比率が違うため、志望校の「内申の重さ」は、実施要綱の別表(普通教育を主とする学科の表)で確認してください。
同じ実技2倍でも、調査書点が400点満点の学校では、実技の1つの評定の価値がさらに大きくなります。
10対0との比較方式の2校は、内申が低くても、学力検査の点数だけで勝負できる仕組みです(学校名は、実施要綱で確認してください)。
📅 令和9年度(2027年度)入試の日程
| 選抜 | 願書受付 | 検査日 | 合格発表 |
|---|---|---|---|
| 推薦に基づく選抜 | 1月8日〜1月18日 | 1月26日・27日 | 2月2日 |
| 学力検査 第一次募集 | 1月29日〜2月4日 | 2月21日 | 3月1日 |
| 学力検査 第二次募集(追検査) | 3月4日 | 3月9日 | 3月12日 |
12月18日から、インターネットで必要事項を入力できます(受付期間の最終日まで)。
一般入試の内申は、中学3年の2学期末までの成績が対象です。実技の評定を動かせる時間は、思っているより短いのです。
📝 推薦入試と一般入試で、実技の効き方は違う
実技教科の2倍は、一般入試(学力検査に基づく選抜)の調査書点の計算です。
推薦に基づく選抜では、調査書の扱いが違います。
| 選抜 | 調査書の扱い(実施要綱より) |
|---|---|
| 一般入試(第一次募集) | 9教科の評定。学力検査を行わない教科(実技4教科)は2倍。65点満点を換算 |
| 推薦に基づく選抜 | 学校ごとに、観点別学習状況の評価(27の観点)か、評定(9教科)のどちらかを調査書点にする。評定を使う場合は、特定の教科を重く扱うことはできない |
| 推薦での評価の材料 | 調査書点のほかに、面接・小論文または作文・実技検査などを、学校が定める基準で点数化する |
推薦入試を考えている人は、志望校が「観点別」と「評定」のどちらを使うかを、実施要綱の別表で確認してください。
観点別の場合は、通知表のA・B・Cが、そのまま点数に結びつきます。実技教科の取り組みの質が、一般入試とは別の形で、見られることになります。
🎯 実技の評定は、どう決まるのか
実技4教科の評定は、定期テストの点数だけでなく、授業の取り組みや作品、提出物など、複数の材料から先生が総合的につけます。
学習指導要領に沿った通知表では、教科ごとに3つの観点で評価されます。
| 観点 | 主な評価材料 |
|---|---|
| 知識・技能 | ペーパーテスト、実技テスト(演奏・製作・運動など)、ワークシート |
| 思考・判断・表現 | 作品の工夫、鑑賞カードの記述、レポート、課題解決の過程 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 提出物の期限、授業中の取り組み、振り返りの記述、準備・片付け |
評価の割合や基準は、学校と先生によって違います。
「何点取れば何になる」と一律には言えませんが、どの教科でも共通して言えるのは、3つの観点のどれかだけを頑張っても、評定は上がりにくい、ということです。
通知表の観点別評価(A・B・C)を見ると、どこが弱いかが分かります。
🎵 音楽:実技テストとペーパーテストの両方を押さえる
- 実技テスト(歌唱・リコーダー・楽器):課題曲が出たら、その日から短時間ずつ練習する。テスト前日の一夜漬けは、緊張で崩れやすい。
- ペーパーテスト:楽譜の記号、音楽用語、作曲家・作品名を、用語集にして覚える。リズム・拍子の問題は、手で拍を打ちながら解く。
- 授業態度:合唱では、声の大きさだけでなく、パートの役割に合わせて歌う姿勢も評価に入りやすい。
- 提出物:鑑賞カードやワークシートは、聴いて気づいたことを具体的に書く。
🎨 美術:作品の提出期限と、制作の過程を見せる
- 作品の期限:最も大切なのは、期限内の提出。未完成でも出すほうが、未提出より評価されやすい。
- 構想・下書き・振り返りの記録:アイデアスケッチや制作メモを残し、工夫した点を言葉で説明できるようにする。
- 鑑賞:作品を見て、「何が」「どう感じたか」を理由とともに書く練習をする。
- 画材の準備:忘れ物をしない。授業の最初から取りかかれる準備が、制作時間を生む。
🏃 保健体育:実技の苦手を減らし、保健の筆記を落とさない
- 種目ごとの苦手を早めに把握:マット・跳び箱・水泳・球技など、苦手な種目は、単元に入る前に家や公園で少し練習しておく。
- 記録より、取り組み方:運動が得意でなくても、挑戦する姿勢や、練習の工夫は評価に入りやすい。
- 保健のペーパーテスト:用語と図表が中心で、短期間で点を取りやすい。ノートを見返して、用語を整理する。
- 準備と挨拶:体操服の忘れ物、見学の連絡など、基本の習慣も態度の評価に関わる。
🔧 技術・家庭:製作物・レポート・ノートの完成度
- 製作・調理実習:計画書や手順の記録を丁寧に書く。完成した作品だけでなく、過程の振り返りも評価の材料になる。
- レポート・ワークシート:期限を守り、「やったこと」だけでなく「考えたこと」「次に工夫したいこと」を書く。
- ペーパーテスト:技術(材料・情報)と家庭(食物・衣服・住居・消費)の用語を、分野ごとにまとめる。
- ノート:授業の内容を、自分の言葉でまとめておくと、定期テストの前に使える。
🗓️ 中3の2学期末まで:時期別の行動計画
| 時期 | 実技の行動 | 5教科の行動 |
|---|---|---|
| 今から11月 | 未提出の課題を全て出す。実技テストの課題を、先生に確認して練習を始める | 過去問に初めて取り組み、現在地を知る。苦手教科の穴を、基礎から埋める |
| 11月〜12月(2学期末) | 実技の提出物・作品・レポートを、期限の前に出す。授業での取り組みを、最後まで丁寧に | 定期テストで、評定に直結する点を確保する。冬休みの学習計画を立てる |
| 冬休み | 受験で使う評定は確定。実技は、高校でも役立つ習慣として続ける | 学力検査の過去問を、時間を測って解き、失点原因を分類 |
| 1月〜2月 | 提出済みの調査書の内容を確認(学校から説明がある場合) | 出願と、2月21日の学力検査に向けた総仕上げ |
東京都の一般入試は、中学3年の2学期末までの成績が対象です。
3学期の成績は、入試に使われません。ただし、高校に進んだ後の学習習慣として、実技の取り組みは続ける価値があります。
⚠️ 実技の評定が下がりやすい4つの落とし穴
- 未提出・遅れた提出:1つの未提出が、「主体的に学習に取り組む態度」の評価を下げる。提出期限の前日ではなく、2日前に出すつもりで動く。
- 忘れ物・準備不足:体操服、楽器、画材、家庭科の持ち物。毎週の予定表で、前日に確認する習慣をつける。
- ペーパーテストの軽視:実技教科にも、筆記テストがある。用語を覚えれば取れる点を、落とさない。
- 実技テスト前の焦り:課題が発表された日から、毎日5分ずつ練習する。直前の詰め込みは、緊張で崩れやすい。
📆 家庭でできる、週間のルーティン(例)
| 曜日 | 実技のために | 5教科のために |
|---|---|---|
| 月曜 | 1週間の提出物・持ち物の確認(5分) | 英語リスニング10分+数学の計算10問 |
| 水曜 | 次週の実技テストの練習(10分) | 理科・社会の用語確認15分 |
| 金曜 | 提出物の仕上げと、先生への確認事項の整理(10分) | 国語の記述1問+漢字10個 |
| 日曜 | 実技ノート・作品の見直し(15分) | 1週間の復習と、過去問に取り組む |
これは1つの例です。
お子さんの部活動や習い事の時間に合わせて、短い時間を、毎週同じ曜日に積み上げるのが続けるコツです。
👤 3人のケースで考える:実技の評定の動かし方
実際の生徒をモデルにした、3つの例です(点数は、全教科が同じ評定だったと仮定した試算です)。
ケースA:5教科は3、実技も3の生徒
今の内申は、65点満点で39点、300点換算で180.0点です。
5教科の勉強に時間を使い切れていない状況で、まず動かしやすいのは実技です。
実技4教科を3から4へ上げられれば、65点満点で47点、300点換算で216.9点になり、36.9点増えます。
未提出を無くし、実技テストの課題を早めに練習する、という行動が、そのまま点数に変わります。
ケースB:5教科は4、実技は3の生徒
今の内申は、44点(300点換算で203.1点)です。
5教科の評定は高いのに、実技が足を引っ張っている状況です。
実技を4にできれば、52点(240.0点)で、36.9点の増加です。
同じ時間をかけるなら、実技の「提出物の期限」「実技テストの練習」に回したほうが、点数は動きやすい可能性があります。
ケースC:5教科は5、実技は4の生徒
今の内申は、57点(300点換算で263.1点)で、満点(300点)まで、あと36.9点です。
実技を5まで上げると、満点の65点(300.0点)です。
この段階の生徒は、内申より、学力検査の得点力が合否を左右します。実技は「落とさない」ことを守り、5教科の過去問に時間を回しましょう。
3つのケースに共通するのは、「どこに時間を使うか」を、点数で決められることです。
感覚ではなく、数字で優先順位をつけるのが、受験の作戦の基本です。
📋 先生に聞く:評定を上げるための5つの質問
実技の評価基準は、先生によって違います。
分からないまま頑張るより、先生に具体的に聞くほうが、近道になる場合が多いです。
次の5つは、伝え方に気をつければ、前向きな相談として受け止めてもらいやすい質問です。
- 「この教科の評価で、特に大切にしている点は、何ですか。」
- 「提出物は、どのような形で、いつまでに出せば評価されますか。」
- 「実技テストの課題と日程を、教えていただけますか。」
- 「私の取り組みで、もう少し工夫できる点は、ありますか。」
- 「2学期の評価で、残りの期間にできることを、教えてください。」
質問は、成績の交渉ではなく、「よい取り組み方を知りたい」という姿勢で伝えましょう。
お子さんが一人で聞きにくいときは、通知表を見ながら、保護者が声をかけてあげてください。
⏱️ 5教科とのバランス:勉強時間の配分
実技の評定が重要だと分かっても、全部の時間を実技に使うことはできません。
目安として、次のような配分を考えてみてください(1日の勉強時間が3時間の例)。
| 項目 | 時間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 5教科の学力検査対策 | 約2時間 | 苦手教科の基礎、過去問の復習、英語のリスニング |
| 実技教科 | 約30分 | 提出物の確認、実技テストの練習、ペーパーテストの用語確認 |
| 定期テスト・提出物の整理 | 約30分 | 学校の宿題、ワークの提出、ノートの整理 |
実技の課題は、締め切り前の一定期間に集中します。
その時期は、実技の時間を増やし、他の時期は5教科に戻す、というメリハリが現実的です。
👨👩👧 保護者ができること
- 提出物の管理:期限を、カレンダーやスマホに登録して、家族で共有する。
- 家庭での環境づくり:音楽の練習、製作の材料、調理の実習の復習など、家庭で支えられる実技を探す。
- 通知表の見方:観点別評価(A・B・C)を見て、どこが弱いかを、お子さんと一緒に確認する。
- 叱るより、一緒に計画:「次に何を出すか」を決めると、実技の評定は動きやすくなる。
🌱 エスペランサアカデミーのサポート
エスペランサアカデミーは、中学・高校・大学受験専門のオンライン家庭教師です。
都立入試では、「5教科の学力」と「実技を含む内申」の両方を、計画的に積むことが大切です。
- 内申の点検:通知表から、実技を含めた評定の現状と、動かせる部分を整理します。
- 実技のペーパーテスト対策:音楽・美術・保健体育・技術家庭の用語や図表を、効率よく覚える方法をお伝えします。
- 提出物の管理:期限の整理と、計画の立て方を、学習の中で一緒に確認します。
- 5教科の学力検査対策:志望校に合わせて、過去問の分析と弱点の補強を行います。
初回体験授業(60分)は無料です。学習の相談だけでも受け付けています。
✅ まとめ:実技で内申を上げる3つのポイント
- 重みを知る:実技4教科は2倍で、65点中40点(約62%)。実技1教科の評定1は約9.2点。
- 2学期末までに:一般入試の内申は、中3の2学期末までの成績が対象。提出物と実技テストを最優先に。
- 先生に聞く:評価基準は先生ごとに違う。具体的に確認して、取り組み方を調整する。
最新の日程・比率・調査書点の扱いは、東京都教育委員会の実施要綱と、志望校の募集要項で必ず確認してください。


