結論:埼玉は「内申」と「北辰テストの偏差値」の2つで、公立と私立の組み合わせを決めます
- 公立の内申は中1〜中3の評定を使い、オール4は満点の80%です。まず自分の内申を「満点に対する割合」で見ます。
- 私立は、7月以降の北辰テストの成績を見て合格の見込みを事前に伝える「確約」を使う学校が多く、内申だけでは決まりません。
- 順番は「私立の推薦・併願(1月22日〜24日)→ 公立の学力検査(2月25日)」です。私立を先に決めてから公立に向かいます。
- 確約は正式な合格通知ではありません。基準と条件は、志望校の個別相談会と中学校の面談で必ず確認してください。
必ず埼玉県教育委員会・各高校の最新の公式情報で確認してください。
📌 この記事の使い方|2つの数字を用意してください
「内申がこのくらいだと、どの高校に行けるのでしょうか」という相談は、埼玉でもとても多くいただきます。
ただ、埼玉では内申の数字だけで受験校が決まるわけではありません。公立は学校ごとに内申と学力検査の重みが違い、私立は北辰テストの成績や面談での相談を通じて、事前に合格の見込みが伝えられるしくみがあるからです。
この記事では、次の2つの数字を使って考え方を整理します。
- 内申:中1〜中3の評定(9教科・5段階)。通知表から平均評定を出せます。
- 北辰テストの偏差値:中3の4月〜の北辰テストの結果。確約の判断材料として使われる学校が多いテストです。
📐 まず内申を「点数」と「割合」で見る
埼玉の公立高校では、中学1年から3年までの評定を使います。各学年とも9教科の評定を足すと45点満点です。通知表の平均評定がわかれば、次の表で位置をつかめます(3学年の平均が同じと仮定した計算です)。
| 3学年の平均評定 | 1学年の合計(45点満点) | 3学年の素点(1対1対1・135点満点) | 満点に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 5.0(オール5) | 45点 | 135点 | 100% |
| 4.5 | 40.5点 | 121.5点 | 90% |
| 4.0(オール4) | 36点 | 108点 | 80% |
| 3.5 | 31.5点 | 94.5点 | 70% |
| 3.0(オール3) | 27点 | 81点 | 60% |
学年ごとの重み(1対1対1、1対1対2など)が変わっても、3学年の平均評定が同じなら「満点に対する割合」は同じです。大切なのは、素点の大きさよりも、この割合です。
内申の計算のしくみそのものは、埼玉県公立高校の内申点の計算方法で詳しく説明しています。都道府県ごとの違いは内申点の計算方法を都道府県別に比較した早見表でも確認できます。
⚖️ 公立は、内申がどのくらい入試に効くのか
令和9年度(2027年度)の埼玉県の公立入試では、全員に面接が行われ、受検生は自己評価資料を提出します。調査書の様式も変わり、「出欠の記録」は削除されます。学力検査は国語・社会・数学・理科・英語の5教科で、各100点の500点満点です。
県教育委員会の実施基本方針に示された「共通選抜」の得点の例を、次の表に整理しました。学力検査500点に、調査書と面接の点を足した合計です。
| 調査書の点 | 面接の点 | 合計(学力検査500点を含む) | 合計に占める調査書の割合 |
|---|---|---|---|
| 200点 | 30点 | 730点 | 約27% |
| 200点 | 60点 | 760点 | 約26% |
| 300点 | 30点 | 830点 | 約36% |
| 300点 | 60点 | 860点 | 約35% |
| 400点 | 30点 | 930点 | 約43% |
| 400点 | 60点 | 960点 | 約42% |
調査書の点が200点の学校と400点の学校では、同じ内申でも入試での重みが2倍近く違います。どの点数を使うかは学校ごとに決まるため、志望校の「選抜実施内容」で確認してください。
平均評定が0.5違うと、何点差になる?
調査書の点を、満点に対する割合で換算する場合を考えます。平均評定が0.5違うと、割合は10%違います。
| 調査書の点(基本点) | 平均評定が0.5違うと | 学力検査500点に対する差 |
|---|---|---|
| 200点の学校 | 20点差 | 4% |
| 300点の学校 | 30点差 | 6% |
| 400点の学校 | 40点差 | 8% |
内申が0.5足りなくても、調査書400点の学校で40点、200点の学校で20点です。学力検査の1教科は100点なので、数学か英語で20〜40点を上積みできれば、内申の差を当日点で埋められる計算になります。ただし、学校選択問題を出す学校では問題が難しくなるため、同じ得点を取る難しさも変わります。
🧭 北辰テストの偏差値と内申、どちらも見る理由
埼玉の私立高校の入試では、多くの学校が7月以降に受けた北辰テストの成績(よい2回分など)を見て、合格の見込みを事前に伝えます。これがいわゆる「確約」です。私立の併願を考えるときは、内申に加えて北辰テストの結果が実質的な判断材料になります。
一方、公立の志望校選びでは、内申が学力検査に加えて入試の得点に入ります。そのため、内申と偏差値の「どちらが強いか」で、向いている受験の組み方が変わります。内申が強い人は、内申の比重が大きい学校で力を出しやすく、偏差値が強い人は、学力検査の比重が大きい学校で当日点を生かしやすい、という見方です。
私立の日程や確約・延納のしくみは、埼玉県の私立高校入試2027にまとめています。
🗂 ケース別の判定表|内申と北辰テストの偏差値の組み合わせ
次の表は、内申(3学年の平均評定)と北辰テストの偏差値の組み合わせごとに、何を優先して考えるとよいかを整理したものです。合格ラインを示すものではなく、「次に確認すること」を決めるための目安です。
| ケース | 内申と偏差値の状態 | 公立の考え方 | 私立併願の考え方 |
|---|---|---|---|
| A | 内申が高く(4.5前後)、偏差値も高い | 学力検査と内申の両方を生かせます。志望校の選抜実施内容で、調査書の点の幅と面接の配点を確認します。 | 難関私立の一般入試も視野に入ります。公立の本命と日程が重ならない学校を選びます。 |
| B | 内申が高い(4.0以上)が、偏差値は伸び悩み | 調査書の点が大きい学校なら、内申を生かせます。学力検査の比重が大きい学校は、当日点の準備が必要です。 | 確約の基準を個別相談で確認します。内申を基準にする学校との相性を見ます。 |
| C | 内申は中程度(3.5〜4.0)、偏差値も中程度 | 公立の中堅校を軸に、内申と当日点の両方を積み上げます。 | 確約を出してもらえる併願校を1〜2校確保してから、公立の準備に集中します。 |
| D | 内申は低め(3.5未満)が、偏差値は高い | 調査書の点が小さい学校では、当日点で逆転しやすくなります。調査書の点が大きい学校は不利になりやすい点に注意します。 | 確約の基準に内申がある学校は届かない場合があります。一般入試で受けられる私立も候補にします。 |
| E | 内申も偏差値も、これから伸ばす段階 | 中3の2学期の成績を整えつつ、模試で弱点を絞ります。 | 早めに複数の私立の個別相談会へ行き、条件と通学のしやすさで併願校を決めます。 |
同じ「内申が高い」でも、公立の調査書が200点の学校と400点の学校では、内申の効き方がまったく違います。まず志望校の調査書の点の幅を調べることが、判定の出発点です。
私立の学校別の内申の目安は、学校別記事で確認できます
当サイトでは、埼玉の私立高校ごとの入試日程や内申の目安を、学校別の記事にまとめています。例えば開智(埼玉)、武南、埼玉栄、春日部共栄の記事があります。志望校が決まっている場合は、そちらも合わせてご覧ください。
🎤 令和9年度は、面接と自己評価資料も「合否の点」に入ります
内申が足りないときの補い方として、令和9年度から重要になるのが面接です。県教育委員会の実施基本方針では、全受検生に個人面接または集団面接を行い、受検生が提出する自己評価資料を面接の参考にするとされています。自己評価資料そのものは評価の対象ではなく、面接の参考として扱われます。
- 面接の点は、基本点30点に対して、1倍(30点満点)または2倍(60点満点)を学校が選びます。
- 評価は5段階で、共通の評価観点として「主体的・協働的な学びの力」と「自らの人生や社会の未来を切り拓く力」が示されています。
- 学校によっては、独自の観点が加わります。
面接が最大60点なら、内申の差を面接で数十点取り返せる可能性があります。ただし、面接の点が学力検査の代わりになるわけではありません。中学校での活動や学びを、自分の言葉で話せるように、10月〜11月から整理しておきましょう。詳しい変更点は、埼玉の2027年度公立高校入試の変更点で説明しています。
🔀 併願パターン|公立が第一志望の場合の4つの組み方
日程は、埼玉県の私立高校入試要項と県教育委員会の発表にもとづきます(詳しくは私立まとめ記事)。私立の推薦・単願・併願は1月22日〜24日に集中し、公立の学力検査は2月25日です。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 10月〜12月 | 私立の説明会・個別相談会。入試相談で、学校の考えを聞きます。 |
| 1月22日(金)〜24日(日) | 私立の推薦・単願・併願の試験が集中(1月25日に行う学校もあります)。 |
| 1月26日(火)正午〜2月9日(火)正午 | 公立のインターネット出願。 |
| 1月30日〜2月9日 | 私立の一般入試・後期など(学校により異なります)。 |
| 2月25日(木) | 公立の学力検査。面接は2月26日(金)に全校で実施されます。 |
| 3月5日(金) | 公立の合格発表(午前9時)。多くの私立の延納の期限は、この前後に設定されます。 |
パターン1|確約を取って、安全を確保してから公立に向かう
もっとも多い組み方です。11月までに通ってもよい私立を2〜3校に絞り、12月までに個別相談で確約の見込みを確かめます。1月22日〜24日に私立の推薦(併願)を受け、合格を確保したうえで、2月25日の公立に臨みます。内申が中程度(ケースC)の人に向いています。
パターン2|私立を第一志望にして、単願で早く決める
私立の雰囲気や学習環境がいちばん合うと感じた場合は、単願(合格したら必ず入学する前提)で受ける方法があります。単願は条件が併願より緩やかな学校もありますが、入学の約束になるので、ご家庭で十分に話し合ってから決めてください。
パターン3|内申が届きにくい公立に挑戦し、私立の一般入試を後ろに置く
公立の志望校が内申の比重が大きく、内申が少し足りない(ケースD・Eの一部)場合は、学力検査での逆転を狙う組み方もあります。私立は1月の確約だけでなく、1月30日〜2月9日の一般入試も受けられる学校を選んでおくと、公立の前に結果を持てます。受験日が増えるぶん、体調と学習時間の管理が大切です。
パターン4|私立を複数受ける
私立の試験は1月22日〜24日に集中するため、同じ日に2校は受けられません。回数が複数ある学校(第1回〜第3回など)もあるので、日程表を作って、どの学校をいつ受けるかを早めに決めます。
🔍 私立の「確約」「基準」は、こう読む
私立の推薦・併願には、内申や出席日数などの条件(基準)が設けられている学校が多くあります。ただし、基準の数字が公表されていない学校もあり、学校や中学校の面談で初めてわかることも少なくありません。次の3点を押さえておくと、情報の読み違いを防げます。
- 確約は、正式な合格通知ではありません。当日の試験や書類で、最終的に合否が決まります。
- 基準に使う成績は、学校ごとに違います。5教科の合計で見る学校、9教科で見る学校、北辰テストの偏差値を条件にする学校があります。
- どの時点の成績かも学校ごとに違います。併願で使う内申が、中3のいつの成績かは私立高校の併願で使う内申は、中3のいつの成績かで整理しています。
個別相談会で何を聞くとよいかは、私立高校の個別相談・入試相談はいつ?にまとめています。
⚠️ よくある失敗5つ
| 失敗 | なぜ困るか | 対策 |
|---|---|---|
| 確約を「合格」と思い込む | 当日の準備が緩み、条件を満たせなかったときの代わりがない | 確約の条件と、最終的な合否の決まり方を、書面や面談で確認する |
| 内申の「締めの時期」を勘違いする | 公立は中3の第2学期までなど、成績の使われ方が学校・制度で違う | 中学校に、調査書に載る成績がいつまでかを確認する |
| 偏差値だけで公立を決める | 調査書の点が大きい学校は、内申が低いと不利になりやすい | 志望校の調査書の点(200/300/400点)を先に調べる |
| 私立の日程を重ねてしまう | 同じ日に2校は受けられない | 1月22日〜24日の日程表を、家庭で共有する |
| 面接・自己評価資料を後回しにする | 令和9年度は全員面接で、自己評価資料を提出する | 10月〜11月から、活動の記録と自己評価の書き方を準備する |
🧮 内申を1つ上げると、何点になるのか(中3の評定を上げる場合)
「残りの期間で内申を上げる意味があるのか」という疑問に、計算で答えます。調査書の点を、満点に対する割合で基本点に換算する場合の目安です(学年の比と基本点は学校ごとに違います)。
| 学年の比 | 中3の1教科を1つ上げる(基本点400点の学校) | 中3の1教科を1つ上げる(基本点200点の学校) | 中3の9教科すべてを1つ上げる(400点/200点) |
|---|---|---|---|
| 1対1対1(135点満点) | 約3.0点 | 約1.5点 | 約26.7点/約13.3点 |
| 1対1対2(180点満点) | 約4.4点 | 約2.2点 | 約40.0点/約20.0点 |
| 1対1対3(225点満点) | 約5.3点 | 約2.7点 | 約48.0点/約24.0点 |
中3を重く見る学校(1対1対3)で、基本点が400点なら、中3の9教科をすべて1つ上げると約48点です。これは、学力検査の1教科(100点)の半分に近い大きさです。一方、1対1対1で基本点200点の学校では、同じ努力でも約13点にとどまります。志望校の学年の比と基本点を知ることが、内申に時間をかけるか、当日点に時間をかけるかの判断材料になります。
評定を上げる具体的な方法は、期末テストで内申点を上げるには?で、提出物・授業態度・テストの3つに分けて説明しています。「テストの点が良いのに評定が上がらない」ときは、内申点の仕組み(3観点評価)を確認してください。
👤 モデルケースで考える(架空の例)
実在の生徒ではなく、考え方を示すための例です。調査書の点は、満点に対する割合で換算する場合の概算です。
| 生徒の状態 | 調査書400点の学校 | 調査書200点の学校 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| 平均評定4.4(満点の88%) | 約352点 | 約176点 | 内申を点に変えやすいのは、調査書の点が大きい学校です。 |
| 平均評定3.6(満点の72%) | 約288点 | 約144点 | 調査書の点が大きい学校では、4.4の人と約64点の差が出ます。 |
| 平均評定4.0(満点の80%) | 約320点 | 約160点 | 中間の位置です。学力検査の伸びしろで、志望校の幅が変わります。 |
平均評定4.4と3.6の差は、調査書400点の学校で約64点、200点の学校では約32点です。内申が低めの人は、調査書の点が小さい学校を選ぶと、当日点で追いつきやすくなります。逆に、内申が高い人は、調査書の点が大きい学校で力を出せます。ただし、倍率や学校の人気で合否は変わるため、模試と合わせて判断してください。
💴 併願校を選ぶときの「費用」の見方
併願校は、確約が出るかどうかだけでなく、万一その学校に通うことになったときの負担も含めて選びます。令和8年度の時点で、国の就学支援金は私立高校の授業料が対象で、令和8年4月1日から所得制限がなくなりました。埼玉県の父母負担軽減事業補助金は、授業料に加えて施設費等納付金と入学金も対象で、県内在住で所得条件を満たす世帯が対象です。補助額は学校の種類と所得で変わります。
ただし、制服代、教材費、修学旅行の積み立てなどは別にかかります。説明会や個別相談会で、入学から卒業までの総額を聞いておくと、比較しやすくなります(制度の詳細は、私立まとめ記事と県の案内でご確認ください)。
🗓 11月〜3月の動き方(内申と偏差値の両方を上げる)
| 時期 | 内申のためにすること | 偏差値のためにすること |
|---|---|---|
| 11月 | 期末テストの目標点を決め、提出物の漏れをなくす | 北辰テストの結果から、弱い単元を3つに絞る |
| 12月 | 2学期の評定を確認し、中学校の面談で志望校の相談をする | 私立の個別相談で聞いた条件を、模試の結果と照らす |
| 1月 | 私立の試験に向けて、体調と生活リズムを整える | 過去問で時間配分を確認し、公立の過去問に戻る |
| 2月 | 面接と自己評価資料の最終確認 | 5教科の総復習。直前は弱点より、取れる問題を落とさない練習 |
内申が足りないときの志望校の選び方は、内申点が足りないときの志望校の選び方で具体的に整理しています。関東全体の併願の組み立ては関東の高校入試2027 私立と公立の併願の組み立て方もご覧ください。
📝 面談・個別相談で聞くことのチェックリスト
- 確約(併願推薦)の基準は何ですか。内申のほかに、北辰テストの偏差値や出席日数の条件はありますか。
- 基準に使う内申は、中3のいつの成績ですか。
- 公立の合格発表まで、入学金の支払いを待ってもらえますか(延納の期限はいつですか)。
- 併願の場合と単願の場合で、基準や条件はどう違いますか。
- 試験は何教科で、過去問はどこで手に入りますか。
- 私立に入学した場合の、3年間の総額の目安はいくらですか。
- 公立の志望校の調査書の点(200/300/400点)と、面接の配点は何点ですか。
- 自己評価資料は、どのような内容を書くとよいですか。


