最終更新:2026年11月/私立高校の個別相談(入試相談)で、保護者が聞いておきたいことを整理した記事です。基準や日程は学校ごとに違うため、この記事に数字は載せていません。数字は、各校の募集要項と配布資料で確認してください。
私立高校の個別相談(学校によって「入試相談」「事前相談」とも呼ばれます)は、併願優遇や確約の見込みを、受験前に学校へ直接たずねられる数少ない機会です。ただし、その場の「大丈夫そうですよ」という言葉は、合否の約束ではありません。
聞くことは多く見えますが、整理すると6つに分かれます。①内申の基準、②その基準で何が決まるか、③併願か専願か、④費用と手続きの期限、⑤入学後の学びと生活、⑥相談結果の書面です。この記事では30の質問を6分類に分け、答えを書き込める確認メモまで用意しました。
12月の三者面談で受験校を決める前に、第1志望と併願の候補それぞれについて、このリストで学校に確認しておくと、「聞いていなかった」を減らせます。
- 個別相談・入試相談とは何か(説明会との違い)
- 相談に行く前に、家で決めておく5つのこと
- 学校に聞くこと30問(6分類)
- 答えを「確認メモ」に残す方法
- 用語の整理:併願優遇・確約・単願・加点・スライド合格
- 聞き方で起こりやすい失敗と注意点
- 相談のあと7日間の動き方
- よくある質問(7問)
個別相談・入試相談とは何か
私立高校が受験生と保護者に向けて開く行事には、いくつかの種類があります。名前は学校ごとに違いますが、目的で分けると次のように整理できます。
| 種類 | 主な目的 | 保護者が得るもの | 個別の内申は? |
|---|---|---|---|
| 学校説明会 | 学校の教育内容や入試の全体像を伝える | 学校の方針、コース、行事、入試の概要 | 出さない(全体向け) |
| オープンスクール・体験入学 | 授業や部活動を体験する | 校舎の雰囲気、授業のイメージ | 出さない |
| 個別相談会・入試相談 | 個々の成績をもとに、受験の見通しを話す | 基準に対する自分の位置、手続きの具体 | 出す(通知表の写しなど) |
| 学校見学(随時) | 校舎や設備を見る | 通学路、施設、在校生の様子 | 学校による |
この記事で扱うのは、3行目の個別相談会・入試相談です。内申の数字を学校に見せて、基準との距離を教えてもらう場なので、準備の質で得られる情報が大きく変わります。
個別相談の開催時期は学校ごとに違います。秋から冬にかけて複数回設ける学校もあれば、予約制で随時受け付ける学校もあります。日程は各校のホームページと、中学校に届く案内で確認してください。千葉県については、千葉県の私立高校の個別相談・入試相談の受け方で、県内の流れをまとめています。
相談に行く前に、家で決めておく5つのこと
学校に行ってから「何を聞けばよいか」を考えると、時間が足りなくなります。相談の持ち時間は短いことが多いので、次の5つを前日までに家で決めておくと、質問に集中できます。
1 この学校を「何番目の志望」として見るか
第1志望なのか、公立が不合格だったときの進学先なのかで、聞く内容が変わります。公立の発表前に入学手続きが必要な学校もあるため、内申点が足りないときの併願校|公立発表前の入学手続きと費用の考え方と合わせて読んでおくと、質問の優先度をつけやすくなります。
2 持っていく成績の資料を選ぶ
個別相談では、通知表や模試の結果の写しを求められることがあります。何を持っていくかは、学校の案内に書かれた「持ち物」に従います。案内に書かれていない場合は、事前に電話かメールで確認すると安心です。
| 資料 | 使い道 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 中1〜中3の通知表(5段階評定) | 基準にある教科・学年・時期との照合 | コピーを1部。2学期分は、学校から返却された日付を確認 |
| 9教科の評定の一覧メモ | 基準の計算(5教科合計・9教科合計など) | 家で先に合計を出しておく。計算の根拠は「例」として学校に見せる |
| 欠席日数 | 基準に欠席の条件がある学校があるため | 学年ごとの日数を書き出す。数字を隠さない |
| 部活・生徒会・検定・英検 | 加点や推薦の条件になる場合があるため | 証明書のコピー。取得日と級・段位を一覧に |
| 志望校の募集要項(最新年度) | 質問を書き込む | 前年度の要項と混ざらないよう、年度をメモの上に書く |
3 子ども本人が聞きたいことを聞き出す
保護者が質問をそろえても、通うのは本人です。通学時間、部活動、制服、学校の雰囲気など、本人が気にしていることを、前日までに3つだけ聞いてメモにしておきます。そのうち1つは、本人が自分の口で学校に聞く形にすると、相談の場が「親が決める場」になりにくくなります。受験生の親が口を出しすぎないためにの考え方が参考になります。
4 費用の「上限」を家で決める
入学金や施設費は、金額を聞く前に、家庭として出せる上限を決めておきます。上限がないと、学校の説明を聞いたその場で判断が揺れます。費用の全体像は高校受験にかかる費用総額|受験料・入学金・納入期限と併願数別の目安で整理しています。授業料の国の支援については高校授業料の就学支援金(2026年度)を、最新の案内とあわせて確認してください。
5 相談の「結果の聞き方」を決める
「見通しを教えてもらう」のか、「基準を満たしているかだけ確認する」のかで、聞き方が変わります。この記事では、後者の確認を重視します。理由は次のとおりです。
- 見通しの言葉は、聞く人によって受け取り方が変わる
- 基準を満たしているかどうかは、数字と条件で言葉にできる
- 数字と条件の確認は、紙に残しやすい

学校に聞くこと30問(6分類)
ここからが、この記事の中心です。質問は6分類、各5問です。全部を聞く必要はありません。第1志望と併願候補で、それぞれ「先に聞く質問」を選ぶ目安として、各分類の1〜2問目を優先してください。
分類1 内申(調査書)の基準
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 1 | 基準に使う成績は、5教科・9教科のどちらですか。 | 計算の土台が違うと、同じ通知表でも判定が変わるため |
| 2 | 基準に使うのは、中3のどの時期の成績ですか(1学期末・2学期末など)。 | 時期のずれは、最も起こりやすい勘違いの一つ。併願で使う内申は中3のいつの成績?も参照 |
| 3 | 実技教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)は、基準に含まれますか。 | 公立と異なり、実技の扱いが軽い学校も重い学校もあるため |
| 4 | 欠席日数や遅刻の条件はありますか。 | 評定が足りていても、欠席条件で外れる場合があるため |
| 5 | 基準は、前年度から変わっていますか。 | 前年度の資料を見て安心してしまうミスを防ぐため |
分類2 基準を満たしたら、何が決まるのか
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 6 | 基準を満たすと、「入試当日の得点にかかわらず合格」になりますか。それとも「一定以上の得点が必要」ですか。 | 「基準」と「合格」を混同しないための、特に大切な質問 |
| 7 | 当日の得点が必要な場合、目安になる得点は教えていただけますか。 | 非公表の学校もあるため、聞いて答えがなければ「公表されていない」とメモ |
| 8 | 基準を満たしても、不合格になる場合はありますか。 | 過去に不合格になる場合があるか、どんな場合かを知るため |
| 9 | 面接や作文は、合否に使われますか。 | 基準の外にある選考要素を、先に知っておくため |
| 10 | 基準に届かない場合、ほかの方法(別の入試区分・加点など)はありますか。 | 選択肢を狭めずに、次の相談先を決められる |
分類3 併願か専願か
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 11 | 「併願優遇」「確約」などの用語は、貴校ではどのような意味で使われていますか。 | 学校ごとに意味が違うため。用語の整理は後の章で |
| 12 | 併願を認める公立高校や、地域・学科の条件はありますか。 | 公立の志望校が条件に合うかを確認 |
| 13 | 専願(その学校を第1志望とする)の場合、基準は併願と違いますか。 | 専願の方が基準が緩やかな学校もあるが、入学が前提になる |
| 14 | 公立高校が不合格になった場合、入学しないという選択はできますか。 | 手続き後の辞退条件を、先に知っておくため |
| 15 | 特待・奨学などの制度は、併願でも対象になりますか。 | 費用の見通しに直結するため |
分類4 費用と手続きの期限
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 16 | 受験料(検定料)は、いくらですか。納付方法は何ですか。 | 受験料は、受験回数に応じて必要になる |
| 17 | 入学金の納入期限はいつですか。公立の合格発表の前後どちらですか。 | 公立発表前の納入が必要な学校があるため。手続きと費用の考え方を参照 |
| 18 | 入学金以外に、入学までに必要な費用と時期はありますか。 | 施設費、教材費などの時期は学校ごとに違う |
| 19 | 入学辞退の場合、納めた費用の扱いはどうなりますか。 | 返金の有無と条件を、書面で確認 |
| 20 | 授業料の支援や、学校独自の減免はありますか。 | 国の制度との組み合わせを考えるため |
分類5 入学後の学びと生活
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 21 | コースの分かれ方(進学・特進など)と、入学後に変更できる条件は何ですか。 | 入試時のコース選択で後悔しないため |
| 22 | 補習や課外授業は、通常の授業時間に含まれますか。別料金ですか。 | 学校生活と費用の見通し |
| 23 | 部活動の入部条件や、活動日数はどのくらいですか。 | 本人の関心事に合わせて確認 |
| 24 | 通学経路・通学時間の目安と、遅刻や欠席の扱いはどうなっていますか。 | 毎日の負担を、先に具体にしておく |
| 25 | 大学進学・指定校推薦などの実績と、校内での選抜のしくみはどのようになっていますか。 | 進学実績は、公表された資料の範囲で確認 |
分類6 相談結果を書面に残す
| 番号 | 質問 | 聞く理由 |
|---|---|---|
| 26 | 本日お話しいただいた内容を、書面(確認票・メモ)でいただくことはできますか。 | 口頭だけの情報は、後で食い違いが起きやすい |
| 27 | 担当の先生のお名前と、後日問い合わせる窓口を教えていただけますか。 | 追加の質問をするときの連絡先 |
| 28 | お話しいただいた内容は、今年度の入試に有効ですか。いつの時点の情報ですか。 | 日付が分からないまま、情報が独り歩きするのを防ぐ |
| 29 | 今後、基準や条件が変わる場合は、どのように知らされますか。 | 募集要項の発表時期の確認 |
| 30 | 次に確認すべきことや、提出が必要な書類はありますか。 | 相談の最後の2分で、次の動きを確定する |
答えを「確認メモ」に残す方法
相談中に聞いた答えは、その場でメモを取ります。記録は、次の6列のメモを1校1枚にまとめると、帰宅後に比べやすくなります。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 学校名・日付・担当 | 誰がいつ話したか | ○○高校/○月○日/進路担当の△△先生 |
| 基準 | 教科・時期・数字 | 「9教科、2学期末の評定」など、聞いた言葉のまま |
| 基準を満たしたら | 合格が約束されるか、得点が必要か | 「基準を満たし、当日の得点が一定以上なら」など |
| 併願・専願 | どちらで、どんな条件か | 「公立不合格時は入学」など、条件を省略しない |
| 費用と期限 | 金額・日付 | 入学金の期限と、返金の条件を併記 |
| 未確認 | 聞けなかったこと・後で確認すること | 「得点の目安は非公表。募集要項で確認」 |
メモのコツは、聞いた言葉のまま書くことです。「たぶん大丈夫」という言葉も、そのまま「たぶん大丈夫と言われた」と書きます。後で見返したときに、これは約束なのか、感触なのかを自分で判断できます。

→ 「未確認」欄に、「得点の目安」「返金条件の書面」と書いておく。
用語の整理:併願優遇・確約・単願・加点・スライド合格
相談の場では、同じ言葉でも学校によって意味が少しずつ違います。次の表は一般的な意味です。実際の意味は、学校の説明で確認してください。そのために、分類3の質問11があります。
| 用語 | 一般的な意味 | 学校に確認すること |
|---|---|---|
| 併願優遇 | 公立高校などを受けることを前提に、内申の基準を満たした人が優遇される制度 | 優遇の中身(合格の見込み・得点の扱い)、対象の公立の範囲 |
| 確約・事前相談 | 入試前の相談で、合格の見込みを学校が示す仕組み。名前は地域で異なる | 「確約」が書面か口頭か、条件は何か |
| 単願(専願) | その学校を第1志望とし、合格したら入学する受験 | 入学を取りやめる場合の扱い |
| 加点 | 英検や部活動などの実績を、入試の得点や基準に加える仕組み | 対象の級・実績、加点の上限、証明書類 |
| スライド合格 | 第1志望のコースに届かなくても、別のコースで合格とする仕組み | 対象のコース、変更を断れるか |
| 特待・奨学 | 成績などに応じて、費用が減免される制度 | 対象の条件、継続の条件 |
聞き方で起こりやすい失敗と注意点
個別相談で起こりやすい失敗を、4つにまとめました。どれも、特別な人だけの失敗ではありません。
| 失敗 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 成績の数字を実際より良く伝える | 基準の判断がずれ、後から条件を満たしていないと分かる | 通知表の数字をそのまま見せる。計算はその場で学校に確認 |
| 前年度の資料で話を進める | 基準が変わっていても気づけない | 資料の年度を確認。質問5で「前年度との変更」を聞く |
| 口頭の説明を約束と受け取る | 後で「そういう意味ではなかった」となる | 質問26で書面を求める。もらえなければ、メモに「口頭のみ」と書く |
| 複数の学校の説明を混ぜて覚える | どの学校の条件か分からなくなる | 1校1枚の確認メモ。学校名と日付を毎回書く |
親が話しすぎない
相談の場で保護者が話し続けると、先生の説明が減り、情報が少なくなります。保護者は質問と記録、本人は志望の理由と生活の質問、という役割分担にすると、バランスが取れます。
その場で決めない
学校側から「今日、決めてもらえると助かります」と言われることもあります。入学を決める書類に署名する前には、家に持ち帰る時間をつくります。手続きの期限は、質問17で確認した日付までに間に合えばよいのです。
相談のあと7日間の動き方
| 日 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 当日(帰宅後) | 確認メモを清書する | 記憶が新しいうちに。「未確認」欄を埋める |
| 1日後 | 本人と、良かった点・気になった点を話す | 本人の感想を先に聞く |
| 2〜3日後 | 複数校のメモを並べて、基準・期限・費用を比べる | 表にして一覧に。私立高校の滑り止めの決め方の3基準で見直す |
| 4〜5日後 | 未確認事項を学校に問い合わせる | 電話・メールのどちらでもよいが、回答は書面(メール)で受ける |
| 6日後 | 担任の先生に、学校から見た受験校の組み方を相談する | 中学校の指導方針や、推薦の手続きの時期を確認 |
| 7日後 | 受験校の候補を決め直す | 三者面談の準備に回す。中3の三者面談(12月)で担任に聞くべき質問と準備を参照 |
相談当日の時間配分の例
個別相談の持ち時間は、学校によって10分から30分ほどまで幅があります(学校の案内で確認してください)。限られた時間を使い切るために、時間配分の目安を決めておくと、聞き忘れが減ります。以下は、持ち時間が短いときの組み立て方の例です。
| 順番 | 内容 | 使う時間の目安 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1 | 自己紹介と、志望の状況を伝える | 全体の1〜2割 | 第1志望か併願かを最初に言う |
| 2 | 成績資料を見せ、基準との位置を聞く | 全体の3割 | 質問1・2・6を先に聞く |
| 3 | 併願・専願と、費用・期限を聞く | 全体の3割 | 質問11・17を先に聞く |
| 4 | 本人が聞きたいことを聞く | 全体の1〜2割 | 本人が自分の口で聞く |
| 5 | 書面の依頼と、次の手続きの確認 | 最後の2分 | 質問26・30。担当の名前もここで確認 |
オンラインで個別相談を行う学校もあります。その場合も、通知表の画像を共有するのか、事前に郵送するのかなど、準備の仕方が異なります。申し込みの案内で、準備するものと接続の方法を確認してください。
親子で意見が分かれたとき
個別相談のあと、親は「安全に確保できる学校」を、子は「行きたい学校」を推すことがよくあります。意見が分かれたときは、次の順番で話すと、感情的になりにくくなります。
- まず、お互いが確かめた事実(基準・期限・費用)を、確認メモで読み合わせる
- 次に、「どちらが正しいか」ではなく、「何を一番大切にしたいか」を、それぞれ一つだけ言う
- 最後に、その大切なことを満たす学校の組み合わせを、2〜3案出す
「公立が不合格でも進学できる学校」を一つ確保しておく考え方は、気持ちの余裕にもつながります。気持ちの余裕は、本番の力の出し方にも影響します。体調や生活リズムの整え方は、高校受験の直前期、体調管理と生活リズムの整え方で扱っています。
公立入試との組み合わせで確認すること
私立の個別相談で得た情報は、公立の受験計画と合わせて初めて意味を持ちます。次の3点を、公立側の資料と照らして確認してください。
- 私立の入学手続きの期限と、公立の合格発表日の前後関係
- 公立の志望校が、私立の併願条件に合うか(対象の範囲・学科)
- 私立の受験日と、公立の学力検査・面接の日程の重なり
東京・神奈川・埼玉・千葉で公立の出願後に志望校を変えたくなった場合の期間とルールは、別の記事(公立高校に出願したあと志望校を変えられる?志願変更の期間とルール)で整理しました。私立の相談と公立の出願のタイミングを合わせて考えるときに、あわせて読んでください。
内申そのものが足りないと感じるときは、内申点が足りないときの志望校の選び方や、内申が下がった中3の2学期から取り戻せることも確認してください。


