① 合格の見通しが立つ(確かさ)
② 無理なく通える(通学・費用)
③ 入学してもよいと親子で思える(学びと校風)
どれか1つでも欠けると、合格したあとで困ることがあります。
📌 先に結論|滑り止めは「受かる学校」ではなく「行ける学校」
中3の秋から冬にかけて、多くの保護者の方が「滑り止めをどこにすればよいか」で悩みます。
偏差値や内申の基準だけで選ぶと、合格したあとに通学や校風が合わず、苦しくなることがあります。
この記事では、私立の併願校を選ぶときの3つの基準と、よくある失敗例、受験校の組み合わせ方を整理します。
都府県によって入試の仕組みは違うので、細かい日程や基準は、志望する地域の記事と、各学校の募集要項で確認してください。
「滑り止め」という言葉は、本来は併願校を指す一般的な呼び方です。
お子さんの前では「併願校」「安全校」と呼ぶほうが、前向きに話しやすいという保護者の方もいます。
🧭 併願校の役割|公立が第一志望のときの考え方
公立高校が第一志望の場合、私立の併願校は「公立がうまくいかなかったときの入学先」として、早めに決めておく学校です。
併願校が決まっていると、公立の入試に落ち着いて臨めるという面もあります。
| 入試の形 | 内容 | 併願校としての使い方 |
|---|---|---|
| 併願(併願優遇・確約など) | 公立の結果を待って進路を決められる。内申などの基準を満たすと、事前の相談で合格の見通しが示される学校がある | 公立が第一志望のときの基本。基準と条件は学校ごとに違う |
| 専願(単願) | 合格したらその学校に入学することが前提 | 第一志望が私立のときに使う。公立の受験は原則できなくなる |
| 一般入試 | 当日の試験の結果で決まる。公立と日程が重なる場合がある | 基準に届かないときや、チャレンジしたいときに使う |
専願・併願の違いは、単願・推薦・併願の違いの記事で詳しく説明しています。
併願校の組み方の全体像は、併願校と難関校の受け方の記事も参考にしてください。
1️⃣ 基準① 合格の確かさ|何を根拠に「受かる」と考えるか
1つ目の基準は、合格の見通しが立つかどうかです。
ここでは、次の3つの材料を重ねて考えます。
| 確認する材料 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 内申(通知表) | 学校が示す併願・推薦の内申基準を、中3の見込みで満たしているか | 基準は学校・年度によって変わる。最新の募集要項で確認する |
| 模試の結果 | 志望校の判定が安定して出ているか。1回の結果ではなく、複数回の傾向を見る | 模試の判定は目安。入試問題の形式との相性も見る |
| 学校の事前相談 | 入試相談や個別相談で、合格の見通しを聞けるか | 相談の時期と回数は学校ごとに違う。予約の締切に注意 |
3つの材料のうち、1つだけで判断しないことが大切です。
たとえば、内申の基準は満たしていても、当日の試験の形式に慣れていないと、思わぬ結果になることがあります。
「確約」「優遇」といった制度は、学校ごとに名称も内容も違います。
合格を保証する言葉に聞こえても、条件を満たしていることが前提です。
条件の細部まで、必ず資料で確認してください。
2️⃣ 基準② 無理なく通えるか|通学時間と費用
2つ目の基準は、3年間続けて通えるかどうかです。
合格しても、通学が負担になると、勉強や部活の時間が削られます。
- 通学時間:自宅から学校までの所要時間を、朝の通学時間帯で調べる。乗り換えの回数も確認する
- 通学路の安全:駅から学校までの道、帰りが遅くなったときの様子
- 費用:入学金、施設費、制服や教材費、通学の定期代など、授業料以外にかかるお金
- 家族の負担:送り迎えや、朝晩の食事の時間への影響
費用については、国の高校生等就学支援金の制度があります。
文部科学省は、令和8年度から所得制限をなくしたと案内しています。
ただし、支給の内容は学年や制度の仕組みで異なります。
具体的な金額や手続きは、文部科学省と都道府県の最新の案内で確認してください。
費用の全体像は、高校受験にかかる費用の総額の記事でも整理しています。
3️⃣ 基準③ 入学後のイメージ|学びと校風が合うか
3つ目の基準は、入学してからの3年間を、お子さん自身が想像できるかどうかです。
「ここなら通ってもいい」と思える学校であることが、高校生活の意欲につながります。
- 学びの内容:コース制か、普通科だけか。大学進学を目指すか、専門分野を学ぶか
- 校風:部活動、行事、規則の厳しさ。説明会や文化祭で雰囲気を見る
- 進路の実績:卒業後の進学先や就職先。学校の資料で確認する
- お子さん自身の気持ち:「この学校の制服を着る自分」を想像できるか
保護者の方が学校を選び、お子さんが納得していない場合、合格後の気持ちがついていかないことがあります。
説明会や見学にはお子さんと一緒に行き、感想を言葉にしてもらうと、気持ちがわかります。
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⚠️ よくある失敗例と対策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 合格したあとに、通学が負担になった | 偏差値や基準だけで選び、通学時間を確認していなかった | 通学時間を実際に試す。朝の時間帯の電車で下見をする |
| 入学金を2校分払うことになった | 納付期限が公立の発表より前で、併願の条件を確認していなかった | 納付期限と、返金の扱いを募集要項で確認する |
| 併願の基準を満たせなかった | 中3の内申の見込みを、出願の前に確認していなかった | 二学期の通知表で、早めに基準を確認する |
| どの学校も「安全」と思い込んだ | 1回の模試の判定で、安全と考えてしまった | 複数回の模試と、過去問の結果で確かめる |
| 公立の不合格後に、学校選びが間に合わなかった | 併願校を決めないまま、公立の発表を待った | 秋のうちに併願校を1〜2校決め、出願の準備をしておく |
🗂️ 受験校の組み合わせ例|3つのグループで考える
受験校は、「チャレンジ」「実力相応」「安全」の3つのグループに分けて考えると、整理しやすくなります。
| グループ | 考え方 | 数の目安 |
|---|---|---|
| チャレンジ | 今の力より少し上。合格できれば大きな成果になる学校 | 1校程度 |
| 実力相応 | 模試や内申で、合格の可能性が見込める学校 | 1〜2校 |
| 安全(滑り止め) | 基準を満たしており、通学も費用も納得できる学校 | 1〜2校 |
受験できる学校の数や組み合わせは、地域の入試の仕組み(公立の受験回数など)で変わります。
志望する都府県の入試の仕組みを確認してから決めてください。
📆 時期別|併願校を決めるまでの流れ
| 時期 | やること |
|---|---|
| 9月〜10月 | 学校説明会・文化祭に参加する。通学路を下見する。候補を5〜6校ほどリストにする |
| 11月 | 三者面談で、中学校の先生に内申の見込みと併願の相談をする。個別相談の予約をする |
| 12月 | 二学期の成績が出る。基準を満たす学校を絞り、併願校を1〜2校決める |
| 1月〜2月 | 出願と受験。受験料と入学手続きの締切を一覧表で管理する |
| 公立の発表後 | 入学手続きを済ませる。他校の手続き期限と返金の扱いを確認する |
実際の日程は、都府県と学校によって違います。
この表は、準備の順番を知るための目安です。
💬 親子で話し合うときの5つの質問
- この学校に通うとしたら、朝は何時に家を出るか
- 3年間続けたい部活動や、勉強したいことは何か
- 公立が不合格だったら、この学校に通う気持ちはあるか
- 費用の面で、家族として確認しておきたいことは何か
- 迷ったとき、誰に相談するか(担任・塾・家族)
話し合いのときは、お子さんの答えを否定せず、まず聞くことから始めてください。
「行きたくない」という気持ちが出たときは、その理由を一緒に探すと、別の候補が見つかることがあります。
🔎 募集要項で確認する10のチェック項目
併願校の資料が手元に届いたら、次の項目を一覧表にして、学校ごとに並べると比べやすくなります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 1. 入試の種類 | 併願・専願・一般のどれか。併願の場合、何と呼ばれる制度か |
| 2. 出願の条件 | 内申の基準、欠席日数の条件、検定などの要件 |
| 3. 試験の内容 | 教科数、面接や作文の有無、試験時間 |
| 4. 試験日・発表日 | 公立の入試日・発表日との前後関係 |
| 5. 受験料 | 金額と納付の方法。複数日程で出願する場合の扱い |
| 6. 入学手続きの期限 | 公立の発表前に手続きが必要かどうか |
| 7. 入学金など | 入学金、施設費、教材費の時期と金額 |
| 8. 返金の扱い | 手続き後に辞退した場合に、戻る費用があるか |
| 9. 通学 | 最寄り駅、通学時間、通学路 |
| 10. 学びと進路 | コース、進学実績、部活動、学校行事 |
制度の名称や内容は、学校ごとに違います。
同じ名前でも、条件が異なることがあるので、必ず学校の最新の資料で確認してください。
👨👩👧 ケース別|こんなときの併願校の考え方
| ケース | 考え方 |
|---|---|
| 公立が第一志望で、内申に余裕がある | 併願の基準を満たす学校の中から、通学と学びで選ぶ。安全な学校を1校確保し、チャレンジ校を加える余裕がある |
| 公立が第一志望で、内申がぎりぎり | 併願の基準を満たすかを早めに確認する。基準を満たす学校を2校ほど確保しておく |
| 私立が第一志望 | 専願の条件を確認する。専願で受ける場合は、公立の受験ができなくなる点も、親子で理解しておく |
| 部活動を続けたい | 部活動の実績や活動日、通学時間を見て、勉強との両立ができるかを確認する |
| 遠方の学校も候補になる | 通学時間と費用の負担を試算する。寮や下宿が必要な場合は、その費用も含めて考える |
お子さんの状況によって、重視する基準は変わります。
3つの基準のうち、どれを優先するかを、親子で最初に決めておくと、迷いが少なくなります。
🗣️ 個別相談で聞いておきたいこと
- 併願の基準は、今年度の入試で変わる予定はないか
- 基準を満たしているかを、通知表の見込みで相談できるか
- 公立の発表後に、入学手続きの期限はいつか
- 入学した場合の、授業料以外の年間の費用はどのくらいか
- 途中でコースや進路を変えたいとき、相談できるか
個別相談は、学校の雰囲気を知る機会でもあります。
お子さんも一緒に参加して、先生や在校生の様子を見ると、通うイメージがつかめます。
💛 お子さんが不安になったときの声かけ
併願校を決める時期は、お子さんも不安が強くなります。
「落ちたらどうしよう」という気持ちを、否定せずに受け止めてあげてください。
- 「併願校があるから、公立の入試に落ち着いて臨める」と、役割を伝える
- 結果ではなく、毎日の勉強の積み重ねを具体的に認める
- 「どの学校でも、行ったところで頑張れるよ」と、選択の幅を広げる
- 家族として、どんな結果でも一緒に考えると伝える
📋 受験スケジュールの管理表をつくる
受験校が複数になると、出願の締切、試験日、発表日、手続きの期限が重なります。
次のような表を、家族で見える場所に貼っておくと、抜けを防げます。
| 学校名 | 出願締切 | 試験日 | 発表日 | 手続き期限 | 受験料の納付 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第一志望(公立など) | |||||
| 併願校A | |||||
| 併願校B |
表の「手続き期限」と「発表日」を見比べて、公立の発表前に手続きが必要な学校がないかを確認してください。
期限が重なる場合は、学校に問い合わせて、扱いを聞いておくと安心です。
空欄の表は、印刷してご家庭でお使いください。
日程は、必ず各学校の最新の募集要項で確認して記入してください。
🔀 公立の結果が出たあとの動き方
公立の合格発表の前後で、保護者の方が準備しておくと安心な動きを整理します。
| 公立の結果 | 次の動き |
|---|---|
| 合格 | 併願校への入学辞退の連絡をする。手続き済みの費用の扱いを、学校に確認する。入学手続きの期限を守る |
| 不合格 | 併願校への入学手続きを進める。期限を確認し、必要な書類と費用を準備する。二次募集などの情報が出る地域では、その案内も確認する |
| 発表前に併願校の手続き期限が来る | 学校に事情を伝えて、手続きの方法を聞く。募集要項に書かれた方法に従い、自己判断で動かない |
結果が出てからあわてないよう、発表の前に、それぞれの場合の手順を家族で確認しておくことをおすすめします。
お子さんが落ち込んでいるときは、手続きの話よりも、気持ちを聞く時間を先に取ってください。
二次募集や、追加の出願の仕組みは、都府県によって違います。
志望する地域の教育委員会のホームページや、中学校の先生に、早めに確認しておきましょう。
📝 併願校でも、入試対策は手を抜かない
併願校の入試は、合格の見通しがあっても、当日の準備をしておくことが大切です。
過去問の形式に一度は触れておくこと、面接や作文がある学校では、その練習をしておくことが、落ち着いて受験する力になります。
- 過去問を最低1年分は解き、時間配分を確認する
- 面接や作文がある学校は、事前に練習する
- 持ち物、集合時間、会場までの経路を前日までに確認する
- 体調管理。併願校の受験日が続くときは、休む日を決める
👪 保護者ができること
保護者の方にできることは、情報の整理と、お子さんが安心して受験できる環境づくりです。
学校の資料を一覧表にして、基準・日程・費用を並べておくと、判断しやすくなります。
内申の見方や各地域の仕組みは、都道府県別 内申点の計算 早見表で確認できます。
東京都の私立の併願優遇については、東京の併願優遇の記事で説明しています。
私立高校の学校別の相談は、私立高校の個別相談・入試相談をご利用ください。
❓ よくある質問
Q:滑り止めは何校くらい受ければよいですか。
A:地域の入試の仕組みと、お子さんの状況で変わります。
1〜2校を確保しておく家庭が多いですが、志望校の数や受験日程は、学校の先生と相談して決めてください。
Q:併願優遇を使えば、合格は決まりですか。
A:学校の条件を満たすことが前提で、制度の内容も学校ごとに違います。
条件と、確約か優遇かの違いを、募集要項や個別相談で確認してください。
Q:滑り止めの学校に入学することになったら、どう考えればよいですか。
A:入学を決めた学校では、お子さんが前向きに通えるように、強みや学べることを一緒に見つけていくと、気持ちが落ち着きます。
Q:私立の入学金は、公立の結果が出る前に払う必要がありますか。
A:学校によって違います。
納付期限と、公立の合格発表後の扱いを、募集要項で確認してください。
Q:内申が足りない場合は、どうすればよいですか。
A:当日の入試で勝負できる学校を探す、内申の基準が低い学校を加える、中3の評定を上げるなど、複数の方法があります。
早めに相談してください。
🌱 まとめ
滑り止めの学校は、「合格の確かさ」「通学・費用」「入学後のイメージ」の3つで選びます。
秋のうちに候補を絞り、親子で話し合い、出願の準備を早めに進めてください。
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