単願推薦と併願優遇を分けるのは、成績ではなく「その高校に必ず行くと決めているかどうか」だけです。決めているなら単願、公立や他校も受けたいなら併願。この順番を逆にして、内申が足りないから単願にする、と考えるのが最も危ない選び方です。
たしかに単願のほうが内申基準は低く設定されているのが一般的です。ただしそれは、他を受けない約束と引き換えに得ている条件です。判断の期限は、2学期の内申が出る12月の三者面談だと考えてください。
- 単願推薦と併願優遇の違いを一覧で
- 単願が向く子・向かない子の分かれ目
- 内申基準が単願のほうが低い理由と、その意味
- 決める前に確認する4つのことと、判断の期限
違いは「他を受けるかどうか」だけ
※表は横にスクロールできます
| 単願推薦(専願) | 併願優遇 | |
|---|---|---|
| 前提 | その高校が第一志望。合格したら必ず入学する | 公立などが第一志望。不合格ならその私立に入学する |
| 他校の受験 | できない | 第一志望は受けられる |
| 内申基準 | 併願より低めに設定されるのが一般的 | 単願より高めになりやすい |
| 結果が出る時期 | 早い。1月中に進学先が決まることが多い | 第一志望の発表まで確定しない |
| その後の勉強 | 受験勉強は早く終わる | 第一志望の入試まで続く |
※呼び名・基準・日程は都県や学校によって異なります。必ず各校の最新の募集要項でご確認ください。
表で見ると分かるとおり、違いは成績ではなく意思の問題です。単願は「他を受けない」という約束を差し出して、そのぶん基準を緩めてもらっている制度です。順番としては、行きたい高校が決まっている人が単願を選ぶのであって、基準が低いから単願にするのではありません。
単願が向く子・向かない子
- その高校に実際に足を運び、本人が「ここに行きたい」と言っている
- 大学進学の方針・部活・通学時間まで調べて納得している
- 公立に強いこだわりがなく、学費の見通しも家庭で共有できている
- 早く進学先を決めて、高校の勉強や部活の準備に入りたい
- 公立が第一志望なのに、内申が足りないから単願を考えている
- 保護者は乗り気だが、本人がその高校を見ていない
- 「受験が早く終わるから」が主な理由になっている
- 併願なら届く公立があるのに、比較せずに決めようとしている
単願で入学した後に「やっぱり公立にすればよかった」となっても、やり直しはききません。3年間通うのは本人です。
基準が低いのは「安く買える」からではない
単願の内申基準が併願より低めなのは、高校側から見れば確実に入学してくれる生徒を先に確保できるからです。入学者数の見通しが立つことには価値があり、そのぶん条件を緩めています。
ここを「同じ高校に安く入れる裏技」と捉えると判断を誤ります。差し出しているのは他の選択肢すべてです。公立を受ける権利も、他の私立と比べる機会も、そこで終わります。基準が2つ低いことと、選択肢を全部手放すことを、同じ天秤に乗せて考えてください。
なお単願は推薦入試として1月に実施されることが多く、併願より日程が早く進みます。出願の締切も早いため、迷っている期間が長いほど選べる幅は狭くなります。
📋 東京都の決まりで見る「推薦入試」と「併願優遇」
東京都の私立高校の入試の決まりは、東京私立中学高等学校協会が定めています。東京都が公表している資料から、単願推薦(推薦入試)と併願優遇(一般入試)の違いを整理すると次のとおりです。
| 推薦入試(単願推薦) | 一般入試の併願優遇 | |
|---|---|---|
| 受けられる人 | その高校が第一志望で、中学校長が推薦し、各校の推薦基準に当てはまる人 | 各校が定める成績などの基準を満たした人 |
| 試験日 | 1月22日以降 | 2月10日以降 |
| 願書の受付 | 1月15日以降に開始 | 1月25日以降に開始 |
| 選び方 | 書類審査・作文・面接・実技・適性検査から各校が選ぶ | 学力検査・面接・調査書など |
| 必ず出す書類 | 中学校長の推薦書と調査書 | 調査書など |
単願推薦は「いつ決まる」のか
② 1月15日以降:願書の受付
③ 1月22日以降:推薦入試。合格発表は翌日ごろの学校が多く、1月中に進学先が決まります
なお、学校によっては「B推薦(東京都・神奈川県以外の中学生向け)」や「併願推薦」を設けているところもあります。東京都内の中学生が使えるかどうかは学校ごとに違うため、必ず各校の募集要項で確かめてください。
出典:東京都「都内私立高等学校 入学者選抜の概要」(東京私立中学高等学校協会の定め・令和7年度入試の資料)。日付は毎年ほぼ同じですが、最新の日程は各校の募集要項でご確認ください。
決める前に確認する4つのこと
判断の期限は、2学期の内申が出る12月の三者面談です。それ以前の段階では、内申はまだ確定していません。11月までに出ている成績はあくまで見込みであり、そこで単願に切り替えるのは早すぎます。ここで受験校を決め、中学校を通した手続きが動き始めます。秋のうちに選択肢を比べておき、12月には迷いのない状態にしておくのが理想です。個別相談での確認事項は私立高校の個別相談会で何を聞くかにまとめています。
保護者がやってはいけないこと
- 内申が足りないことを理由に単願を勧める。制度の使い方が逆です。まず内申を上げる手を尽くします
- 本人が見ていない高校を単願で決める。3年間通うのは本人です
- 「受験が早く終わる」を決め手にする。終わり方ではなく、進む先で選びます
- 担任に相談せずに話を進める。単願も中学校を通した手続きが必要です
選択肢を手放す前に、内申を動かす
単願を検討する家庭の多くは、内申が志望校の併願基準にあと少し足りていません。しかしその1や2は、2学期の定期テストと提出物で埋まることが少なくありません。選択肢を手放す判断をするのは、そこを尽くしてからで遅くありません。
エスペランサアカデミーは、完全オンラインのプロ家庭教師センターです。プロ講師が1対1で担当し、内申の内訳から、残りの期間で上がる見込みのある教科に絞って指導します。公立を狙った場合の見込みと、単願にした場合の比較まで含めてご相談いただけます。
📌 学校ごとの実例:明大明治の推薦
明大明治の推薦は、合格したら入学が条件で、不合格でも一般入試で5点加点があります。基準と選考方法を別の記事にまとめました。
明大明治の推薦|内申38・5教科22と合格ライン →
まとめ
- 違いは成績ではなく「その高校に必ず行くと決めているか」だけ
- 単願の基準が低いのは、他の選択肢を全部差し出しているから
- 内申が足りないから単願、という順番が最も危ない
- 単願は日程が早い。迷う期間が長いほど選べる幅は狭くなる
- 確認するのは、本人が見たか・公立の見込み・3年間の費用・辞退の可否
- 判断の期限は12月の三者面談。秋のうちに比べておく


