東京の併願優遇は、「第一志望が不合格ならこの高校に入学します」と約束する代わりに、内申の基準を満たせば合格が事実上見込める仕組みです。使うかどうかの判断材料は、当日の点数ではなく2学期の内申ひとつです。
そして基準の見方は学校ごとに違います。3科・5科・9科のどれで見るかで、有利になる子が入れ替わります。自分の内申の並びに合う基準の学校を探すことが、秋にやるべき作業です。
- 併願優遇で何が約束され、何が約束されないのか
- 3科・5科・9科という基準の違いと、有利不利
- 英検などの加点で基準に届くケース
- 9月から1月までに、誰が何をするのか
- 使う前に必ず確認すべき注意点
併願優遇は「入学の約束」と引き換えの制度
併願優遇とは、都立などの第一志望を受けることを認めたうえで、その第一志望が不合格だった場合には必ずその私立高校に入学するという条件で、合格の可能性を高めてもらう制度です。内申が学校の定める基準を満たしていることが前提になります。
ここで正確に理解しておきたいのは、合格が書面で保証されるわけではないという点です。当日の入試は受けますし、著しく点が取れなければ話は変わります。ただ実務上は、基準を満たして正規の手続きを踏んだ受験生が不合格になることは、まず起きないと考えられています。
そして約束は一方通行ではありません。第一志望に落ちたら、その私立に入学します。「やっぱり別の私立にします」は通りません。ここを家庭で共有しないまま手続きを進めると、2月に苦しい話し合いになります。
3科・5科・9科──基準の見方で有利不利が変わる
各校が公表する内申基準は、次のいずれかの合計で示されます。
※表は横にスクロールできます
| 基準 | 対象教科 | 有利になりやすい子 |
|---|---|---|
| 3科 | 国語・数学・英語 | 主要科目は強いが、実技や理社に穴がある子 |
| 5科 | 国・数・英・理・社 | 5教科が平均的に取れていて、実技が弱い子 |
| 9科 | 5科+音楽・美術・保健体育・技術家庭 | 実技を含めてまんべんなく取れている子 |
※どの基準を採用するか、必要な数値がいくつかは学校ごとに異なります。複数の基準を併記し、どれか1つを満たせばよいとする学校もあります。必ず各校の最新の募集要項でご確認ください。
同じ内申でも、基準の種類が変わるだけで届く学校と届かない学校が入れ替わります。たとえば実技4教科が弱い子は、9科基準の学校では届かなくても、3科や5科で基準を出している学校なら余裕を持って超えることがあります。志望校を1校に固定せず、自分の内申の形に合う基準を出している学校を探すのが、秋のいちばん現実的な動き方です。
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加点で届くことがある
基準にあと1足りない、という状況でも、加点の仕組みで届く場合があります。代表的なものは次のとおりです。
- 英検・漢検・数検などの資格。級に応じて内申に加点する学校があります。何級から対象かは学校ごとに違います
- 生徒会・部活動・皆勤など。加点対象として明示している学校があります
- 複数の加点を合算できるか。1つまでとする学校と、合算できる学校があります
ただし加点には上限があるのが普通で、いくつ持っていても2までといった形で区切られます。また欠席日数に条件を設けている学校もあり、成績が足りていてもここで対象外になることがあります。該当しそうな場合は、加点の話より先に確認してください。
9月から1月まで、誰が何をするのか
東京の併願優遇でつまずきやすいのは、最後に動くのが保護者ではなく中学校の先生であるという点です。流れを押さえておきましょう。
つまり担任の先生に伝わっていない併願優遇は、存在しないのと同じです。個別相談で良い返事をもらっても、三者面談で学校名を挙げていなければ手続きは動きません。相談に行ったこと、言われた内容は、その都度先生に共有してください。
📋 東京都の決まりで見る併願優遇
東京都の資料では、併願優遇は「一般入試において、各学校が定める成績等の基準を満たした受験者に対して講じる優遇措置」とされています。つまり併願優遇は推薦入試ではなく、2月10日以降の一般入試の中の仕組みです(願書の受付は1月25日以降)。
都立が第一志望のときの「入学金」の扱い
都立の合格発表より前に私立の入学手続きの締切が来る場合、入学金をどう扱うかは学校ごとに決まっていて、東京都の資料では次のように分けられています。
| 区分 | 入学金の扱い |
|---|---|
| A | 入学手続の締切が都立の合格発表日以降(申し出れば待ってくれる学校を含む) |
| B | 発表前に全額を納めるが、申し出れば全額を返す |
| C | 発表前に全額を納めるが、申し出れば一部を返す |
| D | 発表前に一部を納めるが、申し出れば全額を返す |
| E | 発表前に一部を納めるが、申し出れば一部を返す |
| F | 発表前に一部を納め、返さない |
併願優遇を使う学校を選ぶときは、内申の基準だけでなく、この区分も確認しておくと、入学金のムダを防げます。
出典:東京都「都内私立高等学校 入学者選抜の概要」「一般入試における都立高等学校併願者に対する入学納付金の取扱い方法」(令和7年度入試の資料)。各校の区分は、学校の募集要項や説明会で必ずご確認ください。
使う前に必ず確認すること
- その高校に通う覚悟があるか。第一志望が不合格なら、そこに進学します。校風・通学時間・学費を先に確認してください
- 併願優遇は原則1校。複数の高校で同時に使うことはできません
- 入学手続きの締切。都立の発表前に延納手続きが必要な学校があります。日付は必ず控えます
- 1足りないまま放置しない。2学期の内申はまだ動きます。先に上げる努力をしてから学校を決めます
内申は、2学期にまだ動かせます
併願優遇で足りない1や2は、多くの場合2学期の定期テストと提出物で埋まります。難しいのは、残り時間で「どの教科のどこを」上げれば基準に届くのかを特定することです。9教科を均等に頑張る時間は、秋にはもう残っていません。
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📌 学校ごとの実例:専修大学附属高校
専修大学附属は、推薦が9科34、併願優遇が9科37と、受け方によって基準が変わります。英検などの資格で基準を満たす仕組みもあります。
専修大学附属の推薦・併願優遇|内申基準と加点 →
まとめ
- 併願優遇は「第一志望が不合格ならその高校に入学する」約束と引き換えの制度
- 合格が書面で保証されるわけではないが、基準を満たせば事実上見込める
- 基準は3科・5科・9科のいずれか。自分の内申の形に合う学校を探す
- 英検などの加点で届くことがある。ただし上限と欠席日数の条件を先に確認
- 最後に動くのは中学校の先生。担任に伝わっていない併願優遇は成立しない
- 併願優遇は原則1校。延納手続きの締切も必ず控える


