最終更新:2026年11月 ※定期テストの出題や配点は、学校と先生によって違います。この記事は、中学の美術で点と評価を落としやすい場面の一般的な整理です。範囲や配点、評価の方法は、学校の配布資料と前回の答案、通知表で確認してください。
期末テストの美術で、「絵が苦手で、評価が心配」「筆記テストで、何を覚えればよいのかわからない」「作品を出したのに、評価の理由がわからない」という声は多く聞かれます。美術は、絵や彫刻、デザインや工芸をつくる表現の学習と、作品を見て考える鑑賞の学習の両方が、1つの教科になっています。期末テストの筆記で問われるのは、主に色彩や技法の用語と鑑賞ですが、通知表の評価は、作品、アイデアスケッチ、制作の記録、授業中の取り組みも合わさって決まります。
この記事では、美術で点と評価を落とす原因を4つの型に分けます。そのうえで、文部科学省の学習指導要領で確認できる、表現(発想や構想、技能)と鑑賞の内容、〔共通事項〕に示された形や色彩などの内容を整理し、国が示している評価の3つの観点が、期末テストや作品、鑑賞のワークシートのどこで見られるのかをまとめます。既存の「美術の期末対策」の記事(美術の2学期期末テスト対策)が、色彩と技法の暗記の進め方を中心にしているのに対して、この記事は、評価の観点と内申との関係を軸に、筆記・作品・鑑賞の記述のつなぎ方を整理します。
3つの力 学習指導要領の表現は、「発想や構想」と「技能」の2つに分けて示されています。これに鑑賞を加えた3つの力が、美術の評価の土台です。評価の3観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度)にも、つながっています。
筆記テストは、色彩、技法、デザイン、作品や作者などの用語と、鑑賞の記述が中心です。用語は表にまとめて覚え、鑑賞の記述は、「見えたこと→感じたこと→理由」の型で書くと、安定します。
作品の評価は、完成した作品だけでなく、アイデアスケッチや制作の記録、振り返りも根拠になります。期末の直前に変えにくい部分は、制作の記録の書き方を整えることで、評価の根拠を残せます。
- 美術の期末テストは、どこで点と評価が決まるのか
- 学習指導要領が示す表現・鑑賞の内容と、共通事項
- 評価の3観点と内申のつながり
- 点を落とす4つの型と、答案の分け方
- 色彩・技法・デザインの勉強法(色の三属性、混色、版画の分類ほか)
- 鑑賞の勉強法(見えたこと・感じたこと・理由の書き方)
- 作品・アイデアスケッチ・制作の記録を、評価につなげる整え方
- 学年別の重点と、1週間の練習の割り振り・点数帯別の次の一手
美術の期末テストは、どこで点と評価が決まるのか
美術の定期テストは、学校や先生によって、作りがかなり違います。よく見られる形として、期末に筆記テストがあり、色彩や技法の用語、デザインの用語、有名な作品や作者、鑑賞の記述が出されます。作品は、授業の中で制作して提出し、評価されます。筆記テストを行わず、作品と提出物だけで評価する学校もあります。ここでは一般的な形として整理します。
| 場面 | 何が見られやすいか(一般的な形) | 主に関わる観点 |
|---|---|---|
| 期末の筆記テスト(用語) | 色彩、技法、デザイン、道具の用語。作品や作者、時代の知識 | 知識・技能 |
| 期末の筆記テスト(鑑賞) | 作品を見て、造形的なよさや美しさ、表現の意図と工夫を、言葉で説明する記述 | 知識・技能/思考・判断・表現 |
| 作品(絵・彫刻・デザイン・工芸) | 材料や用具の生かし方、意図に応じた工夫、見通しをもった制作、完成度 | 知識・技能/思考・判断・表現 |
| アイデアスケッチ・制作ノート | 主題の生み出し方、構想の過程、構成の工夫、改善の跡 | 思考・判断・表現 |
| 鑑賞ワークシート・振り返り | 見方や感じ方の広がり、制作のうまくいかなかった点の振り返りと改善、粘り強い取り組み | 思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度 |
この表のとおり、期末の筆記テストだけで見られるのは、美術の評価の一部です。筆記の点が高くても、作品や制作の記録が弱いと、評定が思うように上がらないことがあります。反対に、作品や記録が安定していれば、筆記が少し下がっても、評定が保たれることがあります。どの場面が、どの観点につながるのかを、まず把握しておきましょう。
学習指導要領が示す表現・鑑賞の内容と、共通事項
中学校の美術は、文部科学省の学習指導要領で、A表現、B鑑賞、〔共通事項〕で構成されています。A表現は、(1)発想や構想に関する資質・能力と、(2)技能に関する資質・能力の2つに分かれています。(1)の発想や構想は、ア絵や彫刻などに表現する活動と、イ伝える、使うなどの目的や機能を考え、デザインや工芸などに表現する活動の2つです。

| 項目 | 学習指導要領の記述(要約) | 期末テストとの関わり |
|---|---|---|
| A表現(1)ア 絵や彫刻など | 感じ取ったことや考えたことなどを基に、対象や事象を見つめ感じ取った形や色彩の特徴や美しさ、想像したことなどを基に主題を生み出し、全体と部分との関係などを考え、創造的な構成を工夫し、表現する構想を練る | アイデアスケッチ、作品の主題と構成。筆記では構図や用語が出ることがある |
| A表現(1)イ デザインや工芸など | 構成や装飾の目的や条件、伝える目的や条件、使う目的や機能などを基に、主題を生み出し、調和のとれた美しさや、分かりやすさと美しさとの調和などを考え、表現の構想を練る | デザインの用語、目的や条件に合わせた工夫の説明 |
| A表現(2)技能 | 材料や用具の生かし方などを身に付け、意図に応じて工夫して表す。材料や用具の特性などから制作の順序などを考えながら、見通しをもって表す | 作品の完成度、用具の使い方。筆記では道具や技法の用語 |
| B鑑賞 | 美術作品などの造形的なよさや美しさを感じ取り、作者の心情や表現の意図と工夫などについて考え、見方や感じ方を広げる。身の回りの自然物や人工物の形や色彩、材料などの造形的な美しさを感じ取り、生活を美しく豊かにする美術の働きについて考える。身近な地域や日本及び諸外国の文化遺産などのよさや美しさを感じ取り、美術文化について考える | 筆記の鑑賞の記述、ワークシート。作品や作者、文化遺産の知識 |
| 〔共通事項〕 | 形や色彩、材料、光などの性質や、それらが感情にもたらす効果などを理解する。造形的な特徴などを基に、全体のイメージや作風などで捉えることを理解する(第2・3学年では、作風や様式などの文化的な視点で捉える) | 色彩や形の用語、作風の捉え方。表現と鑑賞の両方に共通する土台 |
学習指導要領の「内容の取扱い」には、指導の配慮事項も示されています。たとえば、見る力や感じ取る力、考える力、描く力などを育成するために、スケッチの学習を効果的に取り入れること、写真・ビデオ・コンピュータ等の映像メディアの積極的な活用を図ること、日本及び諸外国の作品の独特な表現形式、漫画やイラストレーション、図などの多様な表現方法を活用できるようにすること、などです。また、主題を生み出すことから表現の確認及び完成に至る全過程を通して、生徒が自分のよさを発見し、喜びをもって自己実現を果たしていく態度の形成を図ることも示されています。
これらから、美術の評価が、完成した作品だけでなく、主題を生み出す過程、スケッチ、制作の過程にも目を向けていることがわかります。作品がうまくできなかったと感じても、アイデアスケッチや制作の記録に、考えた過程が残っていれば、評価の根拠になります。
評価の3観点と内申のつながり
美術は、国語や数学などの学力教科と同じように、通知表に評定がつき、高校入試の調査書(内申)にも載る教科です。ところが、学力教科と違って、期末テストの点だけで評価が決まらない教科でもあります。実技や作品、授業中の取り組み、提出物など、テスト以外の場面の評価も合わさって、1つの評定になります。そのため、「テストの点は取れたのに評定が上がらない」「テストが平均点より下だったのに評定は高い」ということが起こります。
この仕組みを理解するための手がかりが、文部科学省が示している「観点別学習状況の評価」です。国は、平成31年3月29日付けの通知(30文科初第1845号)で、各教科の評価の観点を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つに整理して示しました。この通知は、学習指導要領が目標と内容を「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」という資質・能力の三つの柱で整理したことに合わせたものです。
| 評価の観点 | 国が示す趣旨の要約(別紙4) | 筆記テストで見られやすい形 | 授業・提出物・実技で見られやすい形 |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 対象や事象を捉える造形的な視点について理解している。表現方法を創意工夫し、創造的に表している | 色彩・技法・デザイン・道具の用語、作品や作者の知識 | 材料や用具の生かし方、意図に応じた表現方法の工夫、作品の完成度 |
| 思考・判断・表現 | 造形的なよさや美しさ、表現の意図と工夫、美術の働きなどについて考えるとともに、主題を生み出し豊かに発想し構想を練ったり、美術や美術文化に対する見方や感じ方を深めたりしている | 鑑賞の記述(見えたこと、感じたこと、理由) | 主題の生み出し方、アイデアスケッチ、構想の過程、鑑賞ワークシート |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 美術の創造活動の喜びを味わい、主体的に表現及び鑑賞の幅広い学習活動に取り組もうとしている | (筆記では見られにくい) | 制作のうまくいかなかった点の振り返りと、やり方の改善、制作を最後まで粘り強く進める取り組み |
表の「国が示す趣旨の要約」は、通知の別紙4に書かれた各教科の観点の趣旨を、わかりやすく短くまとめたものです。正確な文言は、この記事の最後の出典から確認できます。右の2列は、当サイトが一般的な傾向として整理したもので、学校ごとに違います。
もう1つ、通知で確認しておきたいのは、観点別学習状況の評価は、毎回の授業ではなく、原則として単元や題材など内容や時間のまとまりごとに、それぞれの実現状況を把握できる段階で行う、と示されている点です。つまり、1回の授業の様子が、そのまま評価になるのではありません。まとまりの終わりに、作品、実技、レポート、ワーク、テストなどから、観点ごとの状況を判断するのが基本です。
美術の観点の趣旨にある「造形的な視点」とは、学習指導要領の〔共通事項〕にある、形や色彩、材料、光などの性質や、それらが感情にもたらす効果、全体のイメージや作風などで捉える視点を指します。つまり、鑑賞でも制作でも、この視点を使って、「なぜそう見えるのか」「なぜそう表したのか」を説明できることが、評価につながります。

観点別の評価から評定、内申へ
中学校の通知表や指導要録では、3つの観点それぞれにA・B・Cなどの評価がつき、それらを総括して、5段階の評定(5・4・3・2・1)が出されます。この評定が調査書(内申書)に記載されます。観点別の評価を評定にどうまとめるかは、学校によって違い、全国共通の換算表があるわけではありません。
また、通知は、学習評価は学習や指導の改善を目的として行われるもので、入学者選抜に用いることを一義的な目的として行われるものではない、と示しています。調査書の利用は、各高校やその設置者が、学力検査の成績との比重などを検討して決めるとされています。そのため、美術の評定が入試でどれだけ重く扱われるかは、都道府県や学校によって違います。実技教科の評定を、学力教科より重く換算する地域もあります。お住まいの地域のルールは、募集要項で確認してください。
美術の評価が思うように上がらないとき
期末テストの答案、作品や制作の記録、通知表の観点別の評価を見ながら、どこを直すと評価につながるかを、一緒に整理します。保護者の方だけのご相談もできます。
点を落とす4つの型と、答案の分け方
返却された答案と、作品に付いたコメント、鑑賞ワークシートの間違いを、4つの型に分けてみてください。「美術はセンスだから」とひとまとめにせず、間違えた問題や評価の低かった場面を見直しながら、どの型かを決めます。

| 型 | 間違え方の例 | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| ① 用語・知識 | 色の三属性や混色の用語の取り違え/技法や版画の種類の混同/作品名と作者の組み合わせの間違い | 対になる用語を並べた表をつくり、図や色見本と一緒に覚える |
| ② 鑑賞の記述 | 「きれいだと思った」だけで終わる/見えたことと感じたことがつながらない | 「見えたこと(形・色・材料など)→感じたこと→理由」の3点で書く |
| ③ 発想・構想 | 主題がはっきりしない/スケッチが1案だけで終わる | 主題を一言で書き、複数案を描いて、選んだ理由を書く |
| ④ 制作・振り返り | 最後まで仕上がらない/うまくいかなかった点の理由が書けない | 制作の順序を決め、途中で見直す。「できたこと・できなかったこと・次に試すこと」の3行で書く |
色彩・技法・デザインの勉強法(色の三属性、混色、版画の分類ほか)
美術の筆記の用語は、範囲が決まっていて、教科書とプリント、授業で使った資料から出る割合が高い部分です。覚える順番は、「色彩」「技法と道具」「デザイン」「作品と作者」の4つです。いずれも、表にまとめて、意味や特徴を書き添えると、定着しやすくなります。
色彩
| 用語 | 意味 | 覚え方のポイント |
|---|---|---|
| 色相 | 赤、黄、青などの色合いの違い | 色相環(色を円にならべた図)で、並び方を確かめる |
| 明度 | 色の明るさの度合い。白に近いほど高く、黒に近いほど低い | 同じ色を、明るくしたり暗くしたりして、色見本で確かめる |
| 彩度 | 色の鮮やかさの度合い。鮮やかなほど高く、灰色に近いほど低い | 明度と彩度を混同しやすい。「明るさ」と「鮮やかさ」と書き分ける |
| 補色 | 色相環で、向かい合う位置にある色の組み合わせ | 並べると、お互いを引き立てて目立つ |
| 暖色・寒色 | 暖かく感じる色(赤、橙、黄など)と、冷たく感じる色(青、青緑など) | 色が感情にもたらす効果の例として出やすい |
| 加法混色 | 光の色を混ぜる方法。光の三原色(赤・緑・青)を全部混ぜると白に近づく | ディスプレイや照明の色。教科書の図で確認する |
| 減法混色 | 絵の具など、色を混ぜる方法。混ぜるほど暗くなり、黒に近づく | 絵の具の色づくり。教科書で、三原色の呼び方を確認する |
この表の用語と説明は、基本的な内容を確かめたものです。教科書によって、三原色の呼び方や、取り上げる用語の数が違うことがあるので、自分の教科書に合わせて確認してください。学習指導要領の〔共通事項〕に、「形や色彩、材料、光などの性質や、それらが感情にもたらす効果などを理解すること」と示されているとおり、色の性質と、感情にもたらす効果は、筆記でも、作品の工夫の説明でも使う考え方です。
技法と道具
版画は、版の種類によって、凸版、凹版、平版、孔版の4つに分けられます。授業で扱った版画の種類を、特徴と一緒に覚えます。
| 版の種類 | しくみ | 例(教科書で確認) |
|---|---|---|
| 凸版 | 版の出っ張った部分にインクをつけて刷る | 木版画、ゴム版(消しゴム版)など |
| 凹版 | 版のへこんだ部分にインクを入れて刷る | 銅版画など |
| 平版 | 版の面を、水と油の反発を利用して刷る | リトグラフなど |
| 孔版 | 版に開けた穴からインクを通して刷る | シルクスクリーン、型紙を使った版画など |
道具の用語は、絵の具、筆、彫刻刀、粘土、ケント紙など、授業で使ったものの名前と使い方、安全な扱い方(たとえば、彫刻刀を使うときは、刃の進む方向に手を置かない)を覚えます。道具の絵や写真と一緒に覚えると、筆記で出たときに思い出しやすくなります。
デザイン
学習指導要領には、「伝える、使うなどの目的や機能を考え、デザインや工芸などに表現する」と示されています。デザインの筆記は、目的や条件に合わせた工夫を説明させる問題が出やすい内容です。
| 項目 | 考え方 | 筆記で問われやすい形 |
|---|---|---|
| 伝えるデザイン | 伝える相手や内容、目的や条件に合わせて、分かりやすさと美しさの調和を考える。ポスター、ピクトグラム、文字のデザインなど | 「相手に伝わりやすくするための工夫を書きなさい」 |
| 使うデザイン | 使う目的や機能、使う場面に合わせて、使いやすさと美しさの調和を考える。生活用品、工芸品など | 「使いやすくするための工夫を説明しなさい」 |
| 構成や装飾 | 構成や装飾の目的や条件、対象の特徴や用いる場面から主題を生み出し、調和のとれた美しさを考える | 「模様や配色の工夫を説明しなさい」 |
デザインの記述は、「目的(誰に、何のために)→工夫(形・色・文字などで何をしたか)→効果(どう伝わるか)」の順に書きます。たとえば、ポスターなら、「見る人に注意を伝えるため、目立つ色(工夫)を使い、文字を大きく(工夫)して、遠くからでも内容がわかるようにした(効果)」のように書きます。
作品と作者
有名な作品と作者、時代や国、特徴は、授業で取り上げた鑑賞作品や、教科書の太字のものが中心です。「作品名・作者・時代や国・特徴」を1行にまとめた表をつくり、作品の図版と一緒に確認します。学習指導要領には、身近な地域や日本及び諸外国の文化遺産などのよさや美しさを感じ取り、美術文化について考えることが示されているため、日本の美術と、外国の美術の両方が、範囲に含まれる可能性があります。範囲は、配布された資料で確認してください。
鑑賞の勉強法(見えたこと・感じたこと・理由の書き方)
鑑賞の記述は、「きれいだと思った」だけでは、評価につながりにくくなります。学習指導要領の〔共通事項〕にある、形や色彩、材料、光などの性質や、それらが感情にもたらす効果、全体のイメージや作風といった視点を使うと、書きやすくなります。
鑑賞の記述の3点セット
- 見えたこと:形、色彩、材料、構図、光の当たり方などから、1つ以上選んで書く。
- 感じたこと:そこから受けた印象を、自分の言葉で書く。
- 理由:見えたことが、どのように印象につながっているのかを、つなげて書く。
| 書き方 | 悪い例 | よい例(例です) |
|---|---|---|
| 見えたことを入れる | 「きれいな絵でした」 | 「青と緑が中心で、画面の中央に明るい黄色が少しだけ使われていました」 |
| 感じたことと理由をつなぐ | 「落ち着いた感じがしました」 | 「寒色が多く、形が整っているので、静かで落ち着いた印象を受けました」 |
| 作者の意図を考える | 「作者はすごいと思いました」 | 「中央に明るい色を置くことで、見る人の目を引きつけようとしたのではないかと考えました」 |
学習指導要領の鑑賞の内容には、「作者の心情や表現の意図と工夫などについて考える」ことが示されています。つまり、作品を見て感じたことに加えて、「作者はなぜそう表したのか」を、見えたことを根拠にして考える記述が、評価につながります。正解が1つに決まらない問いが多いので、根拠を示して、自分の考えを書くことが大切です。
作品・アイデアスケッチ・制作の記録を、評価につなげる整え方
美術の評価では、完成した作品だけでなく、主題を生み出し、構想を練る過程も、「思考・判断・表現」の根拠になります。通知は、観点別学習状況の評価は、単元や題材などのまとまりごとに把握できる段階で行うとしています。題材が終わったときに、アイデアスケッチや制作の記録が残っていることが、評価の根拠になります。
| 場面 | 評価につながる行動の例 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 主題の決定 | 感じたことや考えたことから、主題を一言で書く。なぜその主題にしたのかを、短く書き添える | 主題を決めずに、描き始める |
| アイデアスケッチ | 複数の案を描き、選んだ案と、その理由を書く。構図、色、材料の工夫を書き込む | 1案だけで終わる、スケッチを残さない |
| 制作 | 制作の順序を決め、途中で見直す。材料や用具の特性を生かす。うまくいかない箇所は、やり方を変えて試す | 最後に急いで仕上げる、失敗を隠す |
| 作品の説明・振り返り | 「主題・工夫した点・うまくいかなかった点・次に試すこと」を書く | 「頑張りました」だけで終わる |
| 鑑賞ワークシート | 見えたこと、感じたこと、理由を書く。友だちの作品から気づいたことも書く | 1行で終わらせる、空欄で出す |
通知が示しているとおり、「主体的に学習に取り組む態度」は、挙手の回数や、一時的にやる気を見せた場面だけで決まるものではありません。うまくいかなかったことを振り返り、やり方を変えて取り組み直す粘り強さを含めて見られます。絵の技術に自信がなくても、制作の途中で何を直したのか、なぜそうしたのかを記録に残すことで、取り組みが伝わります。
提出期限のある作品は、期限までに提出できる状態に整えることも大切です。終わらないときは、早めに先生に相談して、期限と提出方法を確認します。提出物の仕上げ方は、期末テストのワーク・提出物の仕上げ方でも確認できます。
学年別の重点と、1週間の練習の割り振り・点数帯別の次の一手
| 学年 | 期末テストでの重点(一般的な傾向) | 注意点 |
|---|---|---|
| 中1 | 色彩の基本(三属性、混色)、基本的な技法と道具の名前、鑑賞の見方の基礎 | 学習指導要領では、第1学年は、各事項の定着を図ることを基本とし、1年間で全ての内容が学習できるよう配慮するとされている。授業の内容を、その都度ノートにまとめる |
| 中2 | デザインの用語、版画や技法の分類、鑑賞の記述(作者の意図) | 見えたことを根拠に、作者の意図を考える記述が増える |
| 中3 | 美術文化(日本と諸外国の作品、時代や作風)と、鑑賞の総まとめ。作品の説明 | 作風や様式などの文化的な視点で捉える記述が出やすい。理由つきで書く練習をする |
この表は、一般的な傾向をまとめたもので、何年生でどの題材や内容を学ぶかは、学校によって違います。配布された範囲表で確認してください。
美術は、期末の1週間前から取り組んでも、用語を中心に、短い時間で点を上げやすい教科です。ただ、ほかの教科との時間の取り合いになるので、日割りの中に、短い時間でも入れておくことが大切です。期末テスト1週間前の5教科日割りでは、5教科の日割りを確認できます。副教科全体の考え方は、期末テストの副教科対策でまとめています。
| 日 | 中心の練習(例) | 時間の目安(例) |
|---|---|---|
| 1日目 | 範囲表の確認。教科書とプリントから、色彩・技法・デザインの用語を書き出し、①の表をつくる | 30分 |
| 2日目 | 色彩:三属性、補色、混色の用語を、色見本や図と一緒に確認する | 30分 |
| 3日目 | 技法・道具・デザイン:版画の分類、道具の使い方、デザインの記述の型 | 30分 |
| 4日目 | 作品と作者の表。図版と一緒に、作品名・作者・時代・特徴を確認する | 30分 |
| 5日目 | 鑑賞の記述。見えたこと・感じたこと・理由の3点セットで、授業で見た作品を書く | 30分 |
| 6日目 | ワーク・プリントの間違えた問題を、型(①〜④)の番号をつけて解き直す。制作の記録の見直し | 30分 |
| 7日目 | 範囲全体を、時間を計って1回分解く。間違えた用語だけを最終確認 | 30分 |
この表は、練習の割り振りの例です。時間や順番は、部活や塾の予定に合わせて調整してください。
テスト当日の解く順番と見直し
美術のテストは、用語を答える短い問題から解くと、落ち着いて点を取りやすくなります。鑑賞の記述は、時間を残して取り組みます。見直しは、①用語の漢字の書き間違い(彩度を別の字で書いてしまう、など)、②記述が問われたことに答えているか(見えたこと・感じたこと・理由)、③作品名と作者の組み合わせ、の順に確認します。見直しの詳しい方法は、期末テストのケアレスミスを減らす見直し術にまとめています。
現在の点数帯によって、優先して取り組むことが変わります。次の表は、一般的な目安です。実際の優先順位は、答案と通知表の観点別の評価(A・B・Cなど)を見て決めてください。
| 現在の点数帯(目安) | 優先すること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 〜40点台 | ①用語。色彩・技法・デザインの用語を表にして、図や色見本と一緒に覚える | 鑑賞の記述の完成度を高めることから始めること |
| 50〜60点台 | 作品と作者の知識と、用語の区別。三属性と三原色など、混同しやすい用語を並べて確認する | 用語の暗記だけで、図で確かめないこと |
| 70点台 | ②鑑賞の記述。見えたこと・感じたこと・理由の3点セットで、複数の作品を書き分ける | 作品名の暗記だけを繰り返すこと |
| 80点台〜 | ③④構想と制作の振り返り、見直し。ミスが出る型の最終確認、作者の意図を考える記述の練習 | 範囲にない内容まで広げること |
この点数帯は、あくまで勉強の方向づけのための一般的な目安で、学校の評価や内申の基準を示すものではありません。評定の出し方(観点別の評価をどう評定にまとめるか)や、高校入試で内申をどう使うかは、学校や都道府県で違います。通知表の見方や、お住まいの地域の入試の記事で確認してください。
保護者の方ができること
- 答案が返ってきたら、点数だけでなく、通知表の3つの観点の評価(A・B・C)を、一緒に見る。
- 色彩や技法の用語は、プリントを指さして、「これはどういう意味?」と聞く役を引き受ける(美術が得意でなくても、プリントを見ながらできる)。
- 鑑賞の記述は、「何が見えた? どう感じた? どうして?」の3つを順に聞いてみる。
- 作品は、うまさを評価するのではなく、「何を表したかった? どこを工夫した?」と聞く。
- 全体のサポートの考え方は、期末テストのサポートのしかたも参考にする。
よくある質問
まとめ
- 美術の評価は、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点で見られる。期末の筆記は、主に用語と鑑賞の記述に関わる。
- 学習指導要領では、表現は「発想や構想」と「技能」、そして鑑賞、〔共通事項〕(形や色彩、材料、光などの性質、感情にもたらす効果、全体のイメージや作風)で構成される。
- 色彩・技法・デザインの用語は、表にまとめ、図や色見本と一緒に覚える。
- 鑑賞の記述は、見えたこと、感じたこと、理由の3点セットで書き、作者の意図まで考える。
- 作品の評価は、アイデアスケッチや制作の記録、振り返りも根拠になる。「主題・工夫した点・うまくいかなかった点・次に試すこと」を残す。
- 内申への反映のしかたは、学校と都道府県で違う。募集要項と学校の評価規準で確認する。
美術の勉強の進め方を、自分に合わせて整えたい方へ
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出典(公式資料)
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」本文(保健体育・技術・家庭・音楽・美術の目標と内容)
- 文部科学省「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)」(30文科初第1845号)
- 同通知 別紙4「各教科等・各学年等の評価の観点等及びその趣旨(小学校・中学校)」
※表現・鑑賞・共通事項の内容と指導の配慮事項は、文部科学省の学習指導要領の記述に基づく整理です。評価の観点は、文部科学省の通知(平成31年3月29日、30文科初第1845号)と別紙4に基づく整理です。色彩や版画の用語は、一般的な内容を整理したもので、教科書の会社や学校によって、扱い方や範囲は違います。例は、この記事のために作成したものです。


