期末テストの音楽の勉強法|楽典・鑑賞の筆記と、歌唱・器楽・創作の評価(内申)をつなげる準備【中1〜中3】

2学期中間・期末テスト対策

最終更新:2026年11月 ※定期テストの出題や配点は、学校と先生によって違います。この記事は、中学の音楽で点と評価を落としやすい場面の一般的な整理です。範囲や配点、評価の方法は、学校の配布資料と前回の答案、通知表で確認してください。

期末テストの音楽で、「楽譜が苦手で、何から覚えればよいのかわからない」「鑑賞の記述で、何を書けばよいのかわからない」「歌や楽器は頑張っているのに、評価がよくわからない」という声は多く聞かれます。音楽は、歌ったり演奏したりする表現の学習と、曲を聴いて考える鑑賞の学習の両方が、1つの教科になっています。期末テストの筆記で問われるのは主に楽典と鑑賞ですが、通知表の評価は、歌唱、器楽、創作の実技や、授業中の取り組みも合わさって決まります。

この記事では、音楽で点と評価を落とす原因を4つの型に分けます。そのうえで、文部科学省の学習指導要領で確認できる、表現(歌唱・器楽・創作)と鑑賞の内容、〔共通事項〕に示された「音楽を形づくっている要素」を整理し、国が示している評価の3つの観点が、期末テストや実技、鑑賞のワークシートのどこで見られるのかをまとめます。既存の「音楽の期末対策」の記事(音楽の2学期期末テスト対策)が、楽典と鑑賞の暗記の進め方を中心にしているのに対して、この記事は、評価の観点と内申との関係を軸に、筆記・実技・鑑賞の記述のつなぎ方を整理します。

結論:音楽は「要素」と「観点」を手がかりに、筆記と実技をつなげて準備する

2つの手がかり 1つ目は、学習指導要領の〔共通事項〕に示された「音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成」などの要素です。鑑賞の記述も、実技の工夫も、この要素を使って説明すると、評価につながります。2つ目は、評価の3観点(知識・技能/思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度)です。

楽典は、練習した分だけ点になる部分です。音符の長さ、拍子、調号、強弱や速度の記号は、短い時間で覚えられます。鑑賞の記述は、「聴こえた要素」と「感じたこと」を、理由つきでつなげる型を覚えると、安定します。

歌唱・器楽・創作の評価は、期末の直前では変えにくい部分です。授業中の練習の記録や、鑑賞・振り返りの書き方を整えることで、評価の根拠を残せます。

この記事でわかること
  • 音楽の期末テストは、どこで点と評価が決まるのか
  • 学習指導要領が示す表現・鑑賞の内容と、共通事項の要素
  • 評価の3観点と内申のつながり
  • 点を落とす4つの型と、答案の分け方
  • 楽典の勉強法(音符・拍子・調号・記号と、計算の例)
  • 鑑賞の勉強法(要素を根拠にした書き方)
  • 歌唱・器楽・創作の評価を、テスト前にどう整えるか
  • 学年別の重点と、1週間の練習の割り振り・点数帯別の次の一手

音楽の期末テストは、どこで点と評価が決まるのか

音楽の定期テストは、学校や先生によって、作りがかなり違います。よく見られる形として、期末に筆記テストがあり、楽譜の読み方や記号、曲や作曲者、楽器、鑑賞した曲についての記述が出されます。歌唱や器楽は、授業の中で、実技テストや発表として評価されます。創作は、作品や記録で評価されます。筆記テストを行わず、実技と提出物だけで評価する学校もあります。ここでは一般的な形として整理します。

場面何が見られやすいか(一般的な形)主に関わる観点
期末の筆記テスト(楽典)音符・休符の長さ、拍子、調号、強弱や速度などの記号、用語の意味知識・技能
期末の筆記テスト(鑑賞)曲名・作曲者・楽器、聴き取った要素、感じたことと理由の記述知識・技能/思考・判断・表現
歌唱・器楽の実技発声や奏法、楽譜どおりに演奏する技能、他の声部を聴いて合わせる力知識・技能
創作課題や条件に沿った音の選択や組合せ、まとまりのある旋律やリズムの工夫知識・技能/思考・判断・表現
鑑賞ワークシート・振り返り聴いて気づいたこと、曲や演奏の評価とその根拠、練習で工夫したこと、粘り強い取り組み思考・判断・表現/主体的に学習に取り組む態度

この表のとおり、期末の筆記テストだけで見られるのは、音楽の評価の一部です。筆記の点が高くても、実技や鑑賞の記述が弱いと、評定が思うように上がらないことがあります。反対に、実技や記述が安定していれば、筆記が少し下がっても、評定が保たれることがあります。どの場面が、どの観点につながるのかを、まず把握しておきましょう。

学習指導要領が示す表現・鑑賞の内容と、共通事項の要素

中学校の音楽は、文部科学省の学習指導要領で、A表現、B鑑賞、〔共通事項〕で構成されています。A表現は、(1)歌唱、(2)器楽、(3)創作の3つです。B鑑賞は、曲や演奏に対する評価とその根拠、生活や社会における音楽の意味や役割、音楽表現の共通性や固有性などについて考え、音楽のよさや美しさを味わって聴く活動です。

中学音楽の表現・鑑賞・共通事項の内容(学習指導要領)
図1:中学音楽の表現・鑑賞・共通事項の内容。出典:文部科学省 中学校学習指導要領(平成29年告示)音楽。エスペランサアカデミー作成
項目学習指導要領の記述(要約)期末テストとの関わり
A表現(1)歌唱創意工夫を生かした表現で歌うために必要な発声、言葉の発音、身体の使い方などの技能。全体の響きや各声部の声などを聴きながら他者と合わせて歌う技能。曲想と音楽の構造や歌詞の内容(第2・3学年は曲の背景も)との関わりを理解する実技テスト。筆記では、歌詞や曲想と音楽の構造との関わりを問われることがある
A表現(2)器楽創意工夫を生かした表現で演奏するために必要な奏法、身体の使い方などの技能。全体の響きや各声部の音などを聴きながら他者と合わせて演奏する技能。楽器の音色や響きと奏法との関わりを理解する実技テスト。筆記では、楽器の名前、奏法、音色について問われることがある
A表現(3)創作音階や言葉などの特徴及び音のつながり方の特徴、音素材の特徴及び音の重なり方や反復、変化、対照などの構成上の特徴を理解し、課題や条件に沿った音の選択や組合せなどの技能を身に付ける作品や記録で評価されることが多い。反復・変化・対照などの用語が筆記に出ることがある
B鑑賞曲や演奏に対する評価とその根拠、生活や社会における音楽の意味や役割、音楽表現の共通性や固有性について考える。曲想と音楽の構造との関わり、音楽の特徴と背景となる文化や歴史、我が国や郷土の伝統音楽及び諸外国の様々な音楽の特徴を理解する筆記の記述問題、鑑賞ワークシート。聴き取りテストが行われる学校もある
〔共通事項〕音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら、知覚したことと感受したこととの関わりについて考える。要素に関わる用語や記号などを、音楽における働きと関わらせて理解する表現と鑑賞の両方に共通する土台。筆記の用語、記述の根拠になる

学習指導要領の「内容の取扱い」には、授業でどう指導するかの配慮事項も示されています。たとえば、〔共通事項〕の「音楽を形づくっている要素」は、音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成などから、指導のねらいに応じて、適切に選択したり関連付けたりして指導するとされています。また、3学年間を通じて1種類以上の和楽器を取り扱うこと、読譜の指導では、3学年間を通じて、1つの♯や1つの♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせること、相対的な音程感覚などを育てるために適宜、移動ド唱法を用いること、我が国の伝統的な歌唱や和楽器の指導では、適宜、口唱歌を用いること、などが示されています。

これらは、期末テストの範囲を予想する手がかりになります。たとえば、授業で和楽器(箏、三味線、尺八、篠笛、和太鼓など、学校によって違う)を扱っていれば、その名前、音色、奏法、口唱歌が筆記に出る可能性があります。調号は、♯や♭が1つ程度の曲が中心なので、まず、この範囲の調号からしっかり読めるようにします。

評価の3観点と内申のつながり

音楽は、国語や数学などの学力教科と同じように、通知表に評定がつき、高校入試の調査書(内申)にも載る教科です。ところが、学力教科と違って、期末テストの点だけで評価が決まらない教科でもあります。実技や作品、授業中の取り組み、提出物など、テスト以外の場面の評価も合わさって、1つの評定になります。そのため、「テストの点は取れたのに評定が上がらない」「テストが平均点より下だったのに評定は高い」ということが起こります。

この仕組みを理解するための手がかりが、文部科学省が示している「観点別学習状況の評価」です。国は、平成31年3月29日付けの通知(30文科初第1845号)で、各教科の評価の観点を「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つに整理して示しました。この通知は、学習指導要領が目標と内容を「知識及び技能」「思考力,判断力,表現力等」「学びに向かう力,人間性等」という資質・能力の三つの柱で整理したことに合わせたものです。

評価の観点国が示す趣旨の要約(別紙4)筆記テストで見られやすい形授業・提出物・実技で見られやすい形
知識・技能曲想と音楽の構造や背景などとの関わり、音楽の多様性について理解している。創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な技能を身に付け、歌唱、器楽、創作で表している楽典の記号と用語、曲や楽器の名前、曲想と構造との関わり歌唱・器楽の技能、創作で音を選んで組み合わせる技能
思考・判断・表現音楽を形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら、知覚したことと感受したこととの関わりについて考え、どのように表すかについて思いや意図をもったり、音楽を評価しながらよさや美しさを味わって聴いたりしている鑑賞の記述(聴こえた要素と、感じたことと、その理由)表現の工夫(どう歌い、どう演奏するかの思いや意図)、鑑賞ワークシート、創作の意図の説明
主体的に学習に取り組む態度音や音楽、音楽文化に親しむことができるよう、音楽活動を楽しみながら主体的・協働的に表現及び鑑賞の学習活動に取り組もうとしている(筆記では見られにくい)練習の振り返り、他の声部や仲間と合わせようとする取り組み、課題を直して再挑戦する粘り強さ

表の「国が示す趣旨の要約」は、通知の別紙4に書かれた各教科の観点の趣旨を、わかりやすく短くまとめたものです。正確な文言は、この記事の最後の出典から確認できます。右の2列は、当サイトが一般的な傾向として整理したもので、学校ごとに違います。

「主体的に学習に取り組む態度」は、挙手の回数やノートの枚数ではありません
通知は、評価の課題として、「挙手の回数や毎時間ノートをとっているかなど,性格や行動面の傾向が一時的に表出された場面を捉える評価であるような誤解」が払拭しきれていないことを挙げています。そのうえで、この観点は、知識及び技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取組の中で、自らの学習を調整しようとしているかどうかを含めて評価するものだと示しています。つまり、「うまくいかなかったところを振り返って、やり方を直しているか」が見られる観点です。

もう1つ、通知で確認しておきたいのは、観点別学習状況の評価は、毎回の授業ではなく、原則として単元や題材など内容や時間のまとまりごとに、それぞれの実現状況を把握できる段階で行う、と示されている点です。つまり、1回の授業の様子が、そのまま評価になるのではありません。まとまりの終わりに、作品、実技、レポート、ワーク、テストなどから、観点ごとの状況を判断するのが基本です。

「思考・判断・表現」の趣旨にある「知覚したことと感受したこととの関わり」とは、「何が聴こえたか(知覚)」と「どう感じたか(感受)」を、つなげて考えることです。たとえば、「テンポが速くなって、わくわくした」のように、速度という要素の変化と、感じたことを結びつけて書きます。この書き方が、鑑賞の記述でも、実技の工夫の説明でも、評価につながります。

音楽の評価の3観点と、期末テスト・実技・鑑賞の関係
図2:音楽の評価の3観点が、どの場面で見られやすいか。出典:文部科学省通知(30文科初第1845号)別紙4をもとに、エスペランサアカデミー作成

観点別の評価から評定、内申へ

中学校の通知表や指導要録では、3つの観点それぞれにA・B・Cなどの評価がつき、それらを総括して、5段階の評定(5・4・3・2・1)が出されます。この評定が調査書(内申書)に記載されます。観点別の評価を評定にどうまとめるかは、学校によって違い、全国共通の換算表があるわけではありません。

また、通知は、学習評価は学習や指導の改善を目的として行われるもので、入学者選抜に用いることを一義的な目的として行われるものではない、と示しています。調査書の利用は、各高校やその設置者が、学力検査の成績との比重などを検討して決めるとされています。そのため、音楽の評定が入試でどれだけ重く扱われるかは、都道府県や学校によって違います。実技教科の評定を、学力教科より重く換算する地域もあります。お住まいの地域のルールは、募集要項で確認してください。

音楽の評価が思うように上がらないとき

期末テストの答案、鑑賞ワークシート、通知表の観点別の評価を見ながら、どこを直すと評価につながるかを、一緒に整理します。保護者の方だけのご相談もできます。

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点を落とす4つの型と、答案の分け方

返却された答案と、鑑賞ワークシートの間違いを、4つの型に分けてみてください。「音楽はセンスだから」とひとまとめにせず、間違えた問題や評価の低かった場面を見直しながら、どの型かを決めます。

音楽で点を落とす4つの型と直し方
図3:音楽で点と評価を落とす4つの型と、直し方の方向。エスペランサアカデミー作成
型間違え方の例直し方の方向
① 楽典・用語音符や休符の長さの数え間違い/記号の意味の取り違え(pとmp、ritとa tempoなど)記号と意味の表をつくり、書いて覚える。拍の数え方は、手で拍を打ちながら確かめる
② 曲・楽器の知識作曲者と曲名の組み合わせの間違い/楽器の分類の間違い曲名・作曲者・特徴を1行にまとめた表をつくる。楽器は絵と音色を一緒に覚える
③ 鑑賞の記述「いい曲だった」だけで終わる/聴こえた要素と感じたことがつながらない「要素(速度・強弱・音色など)→感じたこと→理由」の3点で書く
④ 実技・振り返り課題が「頑張る」だけ/練習で何を直したかが書けない「できたこと・できなかったこと・次に試すこと」の3行で書く
型の分け方の例(例です)
答案で、「4分の4拍子の1小節に、付点4分音符が2つと、4分休符が1つ入っています。この小節は、全部で何拍分ですか」という問題に、「3拍」と答えて×になったとします。付点4分音符は、4分音符(1拍)と8分音符(0.5拍)を足した1.5拍です。付点4分音符2つで3拍、4分休符が1拍なので、合計は4拍で、4分の4拍子の1小節にちょうど収まります。「3拍」は、休符を数え忘れたことが原因なので、①楽典・用語の型(休符の見落とし)です。休符も、音符と同じように、拍の長さを数えて足すことを、確認します。

楽典の勉強法(音符・拍子・調号・記号と、計算の例)

楽典は、国語や数学と同じように、きまりを覚えて使う部分で、練習した分だけ点になります。覚える順番は、「音符と休符の長さ」「拍子と小節」「調号と音階」「強弱・速度などの記号」の4つです。

音符・休符の長さと、拍の数え方

音符・休符長さ(4分音符を1拍とした場合)覚え方のポイント
全音符4拍4分音符4つ分
2分音符2拍4分音符2つ分
4分音符1拍基準になる長さ
8分音符0.5拍2つで1拍。旗や連桁でつなぐ
付点4分音符1.5拍4分音符+8分音符。付点は、音符の半分の長さを足す
付点2分音符3拍2分音符+4分音符

休符の長さも、同じ表で覚えます。全休符、2分休符、4分休符、8分休符があり、それぞれ、同じ名前の音符と同じ拍の長さです。拍の数え方は、「1・2・3・4」と声に出しながら、手で拍を打つと、定着しやすくなります。

調号と音階

学習指導要領で、3学年間を通じて、1つの♯や1つの♭程度をもった調号の楽譜の視唱や視奏に慣れさせるとされているため、調号は、まず♯1つと♭1つの範囲をしっかり読めるようにします。

調号長調短調ポイント
なしハ長調イ短調ドレミファソラシドに、♯も♭もつかない
♯1つ(ファ)ト長調ホ短調ファに♯がつく。ト長調の主音は「ソ」
♭1つ(シ)ヘ長調ニ短調シに♭がつく。ヘ長調の主音は「ファ」

移動ド唱法は、調の主音を「ド」として、階名で歌う方法です。たとえば、ト長調では、ソを「ド」と読みます。そのため、ト長調の楽譜を階名で読むときは、ファに♯がつく音が「シ」にあたります。階名と音名(ドレミ、ハニホ)を、混同しないよう、表に分けて書いておくと、整理しやすくなります。

強弱・速度などの記号

種類記号と意味(一部)覚え方のポイント
強弱pp(とても弱く)、p(弱く)、mp(やや弱く)、mf(やや強く)、f(強く)、ff(とても強く)強さの順に並べて書く。crescendo(だんだん強く)、decrescendo(だんだん弱く)も確認
速度Largo(ごくゆっくり)、Adagio(ゆるやかに)、Andante(歩くような速さで)、Moderato(中くらいの速さで)、Allegro(速く)速さの順に並べて書く。ritardando(だんだん遅く)、a tempo(もとの速さで)も確認
奏法・その他スタッカート(短く切って)、スラー(なめらかに)、フェルマータ(のばす)、リピート記号記号の形と意味を、1つずつ書いて確かめる

記号の意味は、教科書や先生のプリントに載っているものを基準にしてください。学校によって、取り上げる記号の数が違います。範囲にない記号まで、広げて覚える必要はありません。

鑑賞の勉強法(要素を根拠にした書き方)

鑑賞は、曲名や作曲者を覚える知識の部分と、聴いて感じたことを言葉にする記述の部分があります。記述は、学習指導要領の〔共通事項〕にある要素を使うと、書きやすくなります。

鑑賞の記述の3点セット

  1. 聴こえた要素:音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア(音の重なり)、強弱、形式、構成などから、1つ以上選んで書く。
  2. 感じたこと:その要素から受けた印象を、自分の言葉で書く。
  3. 理由:その要素が、どのようにその印象につながっているのかを、つなげて書く。
書き方悪い例よい例(例です)
要素を入れる「いい曲でした」「中盤で強弱が急に大きくなり、迫力を感じました」
感じたことと理由をつなぐ「速かったです」「テンポが速く、リズムが細かく刻まれているので、わくわくした気持ちになりました」
比較する「2つの曲は違いました」「1曲目は弦楽器の音色が中心でやわらかく、2曲目は打楽器が加わって力強い印象でした」

学習指導要領には、鑑賞の指導で、第1学年では言葉で説明したり、第2学年及び第3学年では批評したりする活動を取り入れ、曲や演奏に対する評価やその根拠を明らかにできるよう指導を工夫すること、と示されています。つまり、学年が上がるにつれて、「感じた」だけでなく、「評価して、根拠を示す」記述が求められます。第2・3学年では、「この演奏は〜の点がよい。なぜなら〜」の形で書く練習をしてください。

鑑賞の記述の例(例です)
授業で聴いた曲について、「聴いて感じたことを、音楽の要素を使って書きなさい」という問題の答え方です。「最初は弱く、ゆったりとした速度で、旋律がなめらかに歌われていたので、静かで落ち着いた印象を受けました。後半は強弱が大きくなり、楽器の数も増えて音が重なっていたので、盛り上がっていく気持ちになりました。」このように、速度、強弱、旋律、音の重なりという要素を入れ、印象と理由をつなげます。要素の言葉は、授業で使った用語に合わせてください。

曲名や作曲者の暗記は、鑑賞の知識の部分です。「曲名・作曲者・時代や国・特徴」を1行にまとめた表をつくり、聴き取りテストがある場合は、実際に曲を聴きながら、表の特徴と合わせて確認します。聴き取りテストの有無は、学校によって違います。

歌唱・器楽・創作の評価を、テスト前にどう整えるか

歌唱・器楽・創作は、期末の直前になって急に上達させることは難しい部分です。ただ、評価の観点がわかれば、授業の中でできることは、いくつかあります。苦手意識がある生徒でも取り組める、評価につながる行動を整理します。

場面評価につながる行動の例避けたいこと
歌唱楽譜の歌詞と曲想の関わりを読む。他の声部を聴きながら、自分の声量や発音を調整する自分のパートの練習だけで終わる
器楽苦手な箇所を取り出して、ゆっくりの速さから練習する。指使いや奏法を楽譜に書き込む最初から通しで弾くだけにする
創作課題や条件を確認して、音を選び、「ここをこう変えた」と理由を書く。反復・変化・対照を使ってみる思いつきの音を並べて、意図を書かない
鑑賞ワークシート要素を使って、感じたことと理由を書く。評価とその根拠を示す1行で終わらせる、空欄で出す
振り返り「できたこと・できなかったこと・次に試すこと」の3行で書く。仲間の演奏から気づいたことも書く毎回「頑張りました」だけ書く

通知が示しているとおり、「主体的に学習に取り組む態度」は、挙手の回数や、一時的にやる気を見せた場面だけで決まるものではありません。うまくいかなかったことを振り返り、やり方を変えて取り組み直す粘り強さを含めて見られます。声や楽器の技術に自信がなくても、「どこが難しいか」「どう練習を変えたか」を具体的に書くことで、取り組みが伝わります。

なお、学習指導要領には、合わせて歌ったり演奏したりする場面で、生徒一人一人が、担当する声部の役割と全体の響きについて考え、主体的に創意工夫できるよう指導を工夫すること、と示されています。つまり、自分の声や音だけでなく、全体の響きを聴いて、自分の役割を考えることが、学習の目標に含まれています。

学年別の重点と、1週間の練習の割り振り・点数帯別の次の一手

学年期末テストでの重点(一般的な傾向)注意点
中1楽典の基礎(音符・休符・拍子・調号)と、鑑賞の要素の言葉。歌唱・器楽の基本鑑賞は、学習指導要領のとおり、言葉で説明する活動が中心。要素と感じたことを書く習慣をつける
中2楽典の応用(調号、記号)、和楽器や諸外国の音楽の特徴。鑑賞の批評第2学年から、批評(評価とその根拠)の記述が求められる。「〜の点がよい。なぜなら〜」で書く
中3楽典と鑑賞の総まとめ。曲の背景(文化や歴史)と、音楽の多様性曲想と背景との関わりを問われやすい。理由つきで書く練習をする

この表は、一般的な傾向をまとめたもので、何年生でどの曲や内容を学ぶかは、学校によって違います。配布された範囲表で確認してください。

音楽は、期末の1週間前から取り組んでも、楽典と用語を中心に、短い時間で点を上げやすい教科です。ただ、ほかの教科との時間の取り合いになるので、日割りの中に、短い時間でも入れておくことが大切です。期末テスト1週間前の5教科日割りでは、5教科の日割りを確認できます。副教科全体の考え方は、期末テストの副教科対策でまとめています。

日中心の練習(例)時間の目安(例)
1日目範囲表の確認。教科書とプリントから、楽典の記号と用語を書き出し、①の表をつくる30分
2日目音符・休符の長さと拍の数え方。小節の拍数を足す問題を5問解く30分
3日目調号と音階、強弱・速度記号。記号の意味を隠して、書いて確かめる30分
4日目曲名・作曲者・楽器・和楽器の表(②)。聴き取りがある場合は、曲を聴いて確認する30分
5日目鑑賞の記述。要素・感じたこと・理由の3点セットで、授業で聴いた曲を書く30分
6日目ワーク・プリントの間違えた問題を、型(①〜④)の番号をつけて解き直す30分
7日目範囲全体を、時間を計って1回分解く。間違えた記号と用語だけを最終確認30分

この表は、練習の割り振りの例です。時間や順番は、部活や塾の予定に合わせて調整してください。ワークの回し方は、期末テストのワーク・提出物の仕上げ方で説明しています。

テスト当日の解く順番と見直し

音楽のテストは、記号や用語を答える短い問題から解くと、落ち着いて点を取りやすくなります。拍の計算と記述問題は、時間を残して取り組みます。見直しは、①休符の数え忘れ、②調号や記号の書き間違い、③記述が問われたことに答えているか(要素・感じたこと・理由)、④曲名や作曲者の漢字、の順に確認します。見直しの詳しい方法は、期末テストのケアレスミスを減らす見直し術にまとめています。

現在の点数帯によって、優先して取り組むことが変わります。次の表は、一般的な目安です。実際の優先順位は、答案と通知表の観点別の評価(A・B・Cなど)を見て決めてください。

現在の点数帯(目安)優先すること避けたいこと
〜40点台①楽典。音符・休符の長さ、拍子、調号、強弱・速度記号を表にして、書いて覚える鑑賞の記述の完成度を高めることから始めること
50〜60点台②曲・楽器の知識と、拍の計算。曲名・作曲者・特徴の表をつくり、小節の拍数を足す問題を練習する記号の暗記だけで、計算を確かめないこと
70点台③鑑賞の記述。要素・感じたこと・理由の3点セットで、複数の曲を書き分ける曲名の暗記だけを繰り返すこと
80点台〜④実技の振り返りと、見直し。ミスが出る型の最終確認、評価とその根拠を示す批評の練習範囲にない内容まで広げること

この点数帯は、あくまで勉強の方向づけのための一般的な目安で、学校の評価や内申の基準を示すものではありません。評定の出し方(観点別の評価をどう評定にまとめるか)や、高校入試で内申をどう使うかは、学校や都道府県で違います。通知表の見方や、お住まいの地域の入試の記事で確認してください。

保護者の方ができること

  • 答案が返ってきたら、点数だけでなく、通知表の3つの観点の評価(A・B・C)を、一緒に見る。
  • 楽典の記号は、プリントを指さして、「これはどういう意味?」と聞く役を引き受ける(音楽が得意でなくても、プリントを見ながらできる)。
  • 鑑賞の記述は、「どんな音が聴こえた? どう感じた? どうして?」の3つを順に聞いてみる。
  • 歌や楽器の練習は、うまさを評価するのではなく、「どこが難しい? 何を変えてみた?」と聞く。
  • 全体のサポートの考え方は、期末テストのサポートのしかたも参考にする。

よくある質問

Q. 歌や楽器が苦手だと、音楽の評定は上がりませんか?
評価の3観点のうち、歌唱・器楽・創作の技能は「知識・技能」の一部です。曲想と音楽の構造との関わりの理解、鑑賞の記述や表現の工夫(思考・判断・表現)、練習の振り返りや粘り強い取り組み(主体的に学習に取り組む態度)も、評価の対象になります。苦手でも、できなかった点を振り返り、やり方を変えて取り組むことで、評価につながる部分があります。具体的な評価の方法は、学校の評価規準で確認してください。
Q. 楽譜が読めません。何から始めればよいですか?
音符・休符の長さと、拍の数え方から始めてください。4分音符を1拍として、表で長さを確認し、小節ごとの拍数を足す問題を練習します。そのあとに、調号と音階、強弱・速度の記号へ進みます。学習指導要領では、1つの♯や1つの♭程度の調号に慣れさせるとされているので、まず、その範囲の調号から確かめます。
Q. 鑑賞の記述で、何を書けばよいかわかりません。
「聴こえた要素」「感じたこと」「理由」の3点セットで書きます。要素は、学習指導要領に示されている音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成などから選びます。たとえば、「テンポが速いので、わくわくした」のように、要素と感じたことをつなげます。
Q. 曲名や作曲者は、どのように覚えればよいですか?
「曲名・作曲者・時代や国・特徴」を1行にまとめた表をつくり、実際に曲を聴きながら、特徴と合わせて覚えます。聴き取りテストがある場合は、曲を聴いて、表のどの曲かを当てる練習が有効です。範囲は、授業で聴いた曲と、教科書の太字の曲が中心です。
Q. 音楽の評定は、高校入試でどのくらい重いのですか?
都道府県や学校によって違います。学習評価は入試のために行うものではなく、調査書の利用方法は各高校やその設置者が検討して決めるとされています。実技教科の評定を学力教科より重く換算する地域もあるため、お住まいの地域の募集要項で確認してください。
Q. 実技テストのときに緊張して、うまく歌えません。
練習のときの記録や振り返りも、評価の材料になる場合があります。緊張しやすい場合は、事前に先生に相談して、評価の方法(人前で歌う以外の方法があるかなど)を確認してください。評価の扱いは学校によって違います。
Q. 中1でも、この記事の内容は使えますか?
使えます。中1は、楽典の基礎と、鑑賞で要素の言葉を使う習慣をつける時期です。評価の3観点の考え方は、学年にかかわらず共通です。
Q. 家庭学習だけで、音楽の評価を上げられますか?
筆記の準備(楽典、曲や楽器の知識、鑑賞の記述の型)は、家庭学習でも進められます。実技は、授業中の取り組みが中心ですが、練習の振り返りの書き方を整えることは、家庭でもできます。鑑賞の記述の添削は、自分では気づきにくい点があるため、書いたものを見てもらって原因を整理すると、近道になることがあります。

まとめ

  • 音楽の評価は、知識・技能、思考・判断・表現、主体的に学習に取り組む態度の3観点で見られる。期末の筆記は、主に楽典と鑑賞の記述に関わる。
  • 学習指導要領では、表現は歌唱・器楽・創作、鑑賞、そして〔共通事項〕の要素(音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成など)で構成される。
  • 楽典は、音符・休符の長さ、拍子、調号、強弱・速度の記号を、表にして書いて覚える。
  • 鑑賞の記述は、聴こえた要素、感じたこと、理由の3点セットで書く。第2・3学年は、評価とその根拠を示す批評を意識する。
  • 実技の評価は、練習の振り返りを「できたこと・できなかったこと・次に試すこと」の3行で書き、取り組みの過程を伝える。
  • 内申への反映のしかたは、学校と都道府県で違う。募集要項と学校の評価規準で確認する。

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出典(公式資料)

※表現・鑑賞・共通事項の内容と指導の配慮事項は、文部科学省の学習指導要領の記述に基づく整理です。評価の観点は、文部科学省の通知(平成31年3月29日、30文科初第1845号)と別紙4に基づく整理です。教科書の会社や学校によって、扱う曲や範囲は違います。楽譜の例は、この記事のために作成して確認したものです。

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