埼玉から東京の私立高校を受けるとき北辰テストは使える?確約との違いと12月までの流れ

北辰より内申、12月が勝負保護者向けコラム

最終更新:2026年9月/2027年春(令和9年度)入試に向けた情報です。各校の基準は毎年変わります。必ず志望校の最新の募集要項と個別相談でご確認ください。

結論:東京の私立で「北辰の偏差値で決まる」と公式に書いている学校は確認できませんでした

東京都の私立高校の入試相談について、東京私立中学高等学校協会は「業者テストを始めとする『偏差値』を用いた相談は行いません」と明記しています。「確約」や「内定」も行わない、としています。

東京の私立で相談の土台になるのは、内申(通知表の成績)です。埼玉の私立と同じ感覚で「北辰で確約が取れた」と考えるのは危険です。

一方で、埼玉の中学生向けに独自のルールを用意している東京の私立はあります。学校ごとにちがうので、志望校の個別相談会で直接確認するのが一番確実です。

この記事でわかること
  • 埼玉の私立と東京の私立で「事前の相談」のしくみがどう違うか
  • 東京私立中学高等学校協会の公式ルール(日程と相談の中身)
  • 埼玉の中学生が東京の私立を受けるときの2つのルート
  • 駒込・東洋大京北など、埼玉生向けの実際のルール
  • 保護者が中学の先生と志望校に聞くべきこと
  • 9月から12月までにやることのスケジュール

北辰を使うと公式に明記した東京の私立は確認できない

まず答えです。今回確認した東京の私立高校の公式情報には、「北辰テストの結果で相談できる」という記載は1校もありませんでした。

確認したのは、駒込、東洋大学京北、豊島学院、淑徳巣鴨、淑徳、東京成徳大学の6校の公式サイト(入試関連ページ・募集要項)です。どの学校にも「北辰」という言葉は見当たりませんでした。なお、東京成徳大学高校は募集要項PDFの文字が読み取れず、要項の中身までは確認できていません。

塾のサイトや質問サイトには「東京の○○高校は北辰で相談できる」といった書き込みもあります。しかし、学校の公式情報では裏付けがとれません。この記事では、そうした情報は載せていません。

そもそも北辰テストとは

北辰テストは、北辰図書が主催する埼玉県の中学生向けの模試です。2025年度は、埼玉県内の国公立中学校の中3生58,021人のうち52,593人が1回以上受けました。主催者は「9割」が受けていると説明しています。

北辰の偏差値は、「埼玉県の同学年全員が同じテストを受けた」と仮定して計算されます。つまり、埼玉県の中での位置を測るものさしです。東京の私立がこのものさしを使う理由は、もともとあまりないとも言えます(ここは推測です)。

埼玉の私立と東京の私立は「事前の相談」のしくみが違う

結論として、埼玉は「家庭が高校と直接相談」、東京は「中学の先生が高校と相談」が基本の形です。

項目埼玉の私立東京の私立
誰が相談するか生徒・保護者が高校の個別相談会で直接中学校の先生が高校と(入試相談)
いつ秋から12月にかけての個別相談会通常12月15日以降の数日間
何を見るか通知表の写し(成績・出欠)。塾情報では北辰などの模試偏差値も内申・観点別評価・実技・特別活動・出欠などの記録
偏差値今回確認した学校の公式ページには記載なし(塾情報では使われる)「偏差値を用いた相談は行いません」(協会)
「確約」塾や保護者の間で使われる言葉「決して『確約』や『内定』は行われません」(協会)

※出典:東京私立中学高等学校協会「知っておきたい入試のこと」(公式)、武南高校「個別相談会」案内(公式)。埼玉の私立で模試偏差値が基準に使われるという点は、塾の情報(臨海セミナー)によるもので、今回確認した埼玉の私立高校の公式ページには「北辰」の記載はありませんでした。

埼玉の私立の「確約」のしくみと北辰テストの使われ方は、「埼玉の私立の確約と北辰テスト」の記事で詳しく解説しています。この記事では、東京の私立を受ける場合にしぼって説明します。

東京私立中学高等学校協会の公式ルール

結論として、東京の私立は推薦が1月22日以降、一般が2月10日以降に行われ、その前の12月に「入試相談」があります。

区分出願試験ポイント
推薦入試毎年1月15日以降毎年1月22日以降第1志望が条件。合格したら必ず入学。中学校長の推薦書が必要
一般入試毎年1月25日以降毎年2月10日以降併願優遇がある学校は、基準を満たすと加点などの優遇
入試相談-通常12月15日以降の数日間高校が中学校の先生に「合格の可能性」を伝える場

※出典:東京私立中学高等学校協会「知っておきたい入試のこと」(公式)。具体的な日程は学校ごとに異なります。

協会の説明で特に大事なのは、次の3点です。

  • 相談の資料は「記録」:学習(内申および観点別評価)・実技・特別活動・出欠などの記録で相談します。
  • 偏差値は使わない:「業者テストを始めとする『偏差値』を用いた相談は行いません」と書かれています。北辰テストも業者テストの一つです。
  • 併願優遇でも不合格はある:「当日のテストで合格ラインに届かなければ不合格」と明記されています。
注意:東京の私学協会は「確約」を行わないとしています

協会は「決して『確約』や『内定』は行われません」と説明しています。埼玉の感覚で「東京の○○高校の確約が取れた」と言っても、協会の説明では、東京の私立ではそうした「確約」は行われないことになっています。基準を満たしていても、当日の試験で合格ラインに届かなければ不合格になりえます。

埼玉の中学生が東京の私立を受けるときの2つのルート

結論として、埼玉の中学生は「学校ごとのルールに従う」ことになります。東京の中学生と同じ流れではありません。

協会は、「埼玉県や千葉県等の公立中学生の場合は、各県の私学協会の取決めに準じて実施されますので、受験を希望する私立高校にご確認ください」と書いています。また、「埼玉県等、公立中学校の先生が入試相談を行わない県があります」とも書いています。

つまり、東京の中学生なら中学の先生が12月に高校と相談してくれますが、埼玉の中学生はそうはいきません。家庭が志望校に直接確認する必要があります。

ルート1:1月22日以降の「併願の推薦」

東京の私立の中には、埼玉・千葉などの生徒向けに「併願できる推薦」を用意している学校があります。塾などで「B推薦」と呼ばれることがある形です。ただし、「B推薦」は俗称で、正式な名前は学校ごとに違います。たとえば駒込高校では「推薦Ⅱ(併願)」という名前です。

ルート2:2月10日以降の「一般入試の併願優遇」

推薦ではなく、一般入試の中で併願優遇を使うルートです。たとえば東洋大学京北高校は、埼玉県などの受験生で併願受験を希望する人に、一般入試の併願優遇制度を使うよう案内しています。

2つのルートを比べると

項目推薦(併願)一般入試の併願優遇
試験の時期1月22日以降2月10日以降
実例駒込「推薦Ⅱ(併願)」東洋大京北「併願優遇(一般入試)」
中学校の書類中学校長の推薦が必要(駒込の例)学校ごとに要項で確認
基準の中身内申(5科・9科の合計など)内申(5科・9科の合計など)

※出典:東京私立中学高等学校協会「知っておきたい入試のこと」、駒込高等学校「2027年度 高校募集要項」、東洋大学京北高等学校「2027年度入試 推薦・併願優遇基準」(いずれも公式)。

ここからは当サイトの考え方です。1月に結果が出る推薦(併願)は、早めに合格を1つ持てるのが利点です。そのあと埼玉の公立入試に集中しやすくなります。一方、2月の一般入試の併願優遇は、当日の試験をしっかり受ける必要があるぶん、過去問の準備が欠かせません。どちらのルートでも、当日の試験がある以上、過去問は12月から始めて最低2年分は解いておきたいところです。

どちらのルートがあるかは学校次第

同じ東京の私立でも、埼玉の生徒に「推薦(併願)」を用意する学校と、「一般入試の併願優遇」を案内する学校があります。両方ある学校、どちらもない学校もありえます。志望校の募集要項で「埼玉」「他県」という言葉を探すのが、最初の一歩です。

学校ごとのルールの実例(駒込・東洋大京北)

結論として、2校とも基準は内申(通知表の成績)で、北辰の記載はありません。どちらも2027年度入試の公式情報です。

学校埼玉生の入試区分基準の例その他
駒込高校推薦Ⅱ(併願)※千葉・埼玉・他。試験日1月22日(金)Sコース:5科目合計23以上、9科目すべて3以上、3年12月末までの欠席10日以内など中学校長の推薦が必要。埼玉県併願受験生の入学手続締切は3月6日正午
東洋大学京北高校一般入試の併願優遇併願優遇B:5科21など埼玉の公立中学生は、12月に中学校から配られる「学習の記録等通知書」の内申点で判断

※出典:駒込高等学校「2027年度 高校募集要項」(公式)、東洋大学京北高等学校「2027年度入試 推薦・併願優遇基準」(公式)。基準は一部の例です。コースごとの基準は各校の要項でご確認ください。

駒込高校の例から分かること

駒込では、東京・神奈川の生徒向けの「併願優遇(A)」は一般入試(2月10日・11日)で行われます。一方、千葉・埼玉などの生徒向けには「推薦Ⅱ(併願)」が1月22日に行われます。住んでいる県で、受ける日も入試の名前も変わるのです。

また、推薦Ⅱの出願には「中学校長の推薦する者」という条件があります。埼玉の中学校の先生は入試相談を行いませんが、推薦書は必要です。中学校に推薦書を書いてもらえるかどうか、早めに担任の先生に確認しましょう。

入学手続きの締切が、埼玉県の併願受験生だけ3月6日正午と別に設けられている点も大切です。埼玉県の公立高校の2027年度入試は、学力検査が2月25日(木)、合格発表(入学許可候補者発表)が3月5日(金)です(埼玉県教育委員会)。3月6日正午の締切は、その結果を待てるように配慮したものと考えられます(ここは推測です)。

東洋大京北の例から分かること

東洋大京北は、埼玉の公立中学生の内申を「学習の記録等通知書」の内申点で見ると書いています。これは12月に中学校から一人ひとりに配られるものです。つまり、中3の2学期までの成績が基準になると考えられます。北辰で何点取っても、内申が基準に届かなければ併願優遇は使えません。

保護者の方へ:北辰の成績表は「持っていってよいか」を聞く

東京の私立の個別相談会に、北辰の成績表を持っていくべきか迷う方も多いと思います。公式には偏差値で相談しないため、まず通知表の写しを準備し、北辰の成績表は「参考に見ていただけますか」と聞くのが安全です。見てもらえたとしても、それで合格が決まるわけではないと考えてください。

保護者が中学の先生・志望校に聞くべきこと

結論として、聞く相手は2人です。中学の担任の先生と、志望する東京の私立高校です。それぞれに聞くことを整理しておきましょう。

中学の担任の先生に聞くこと(10月の三者面談までに)

  • 東京の私立の推薦(併願)を受ける場合、中学校として推薦書を書いてもらえるか
  • 「学習の記録等通知書」はいつ配られるか。2学期の成績はいつ確定するか
  • 今の成績で、5科・9科の合計はいくつになりそうか
  • 欠席日数が基準(例:3年12月末までに10日以内)にかからないか
  • 過去に同じ高校を受けた先輩がいるか(いれば、どんな流れだったか)

志望する東京の私立高校に聞くこと(個別相談会で)

  • 埼玉県の生徒が使える入試区分はどれか(推薦の併願か、一般の併願優遇か)
  • 埼玉県の生徒の場合、基準の内申は何を見るか(通知表か、学習の記録等通知書か)
  • 基準を満たしている場合、何をすれば「相談済み」になるのか。書類や期限はあるか
  • 北辰テストの結果を参考として見てもらえるか
  • 入学手続きの締切は、埼玉県の公立高校の結果が出た後か
  • 当日の試験で、どの程度の点数が必要か
POINT:聞いた内容はその日のうちにメモに残す

個別相談会では、口頭で説明されることがほとんどです。「誰に・いつ・何を言われたか」をその日のうちに書き留めておきましょう。12月に学校名や基準が頭の中で混ざるのを防げます。複数の学校を回る場合は、学校ごとに1枚ずつ作るのがおすすめです。

9月から12月までのスケジュール

結論として、12月までに「内申を1でも上げる」「志望校の個別相談で基準を確認する」の2つを並行して進めます。北辰テストは、埼玉の公立と私立の判断材料として受け続けます。

時期やること
9月下旬〜10月東京の私立の募集要項で「埼玉」「他県」の区分を確認。個別相談会を予約。北辰テスト第5回(10月11日)
10月〜11月2学期の定期テスト対策を最優先。担任の先生に推薦書と欠席日数を確認。北辰テスト第6回(11月8日)
11月〜12月前半東京の私立の個別相談会に参加(通知表の写しを持参)。北辰テスト第7回(12月6日)
12月中旬2学期の成績と「学習の記録等通知書」を確認。東京の中学生の入試相談は通常12月15日以降。埼玉生は志望校の指示に従い手続き
1月東京の私立の推薦は1月22日以降。埼玉の私立の入試も1月22日から始まる。北辰テスト第8回(1月31日)
2月東京の私立の一般入試は2月10日以降。埼玉の公立は学力検査2月25日(木)、合格発表3月5日(金)

※出典:北辰図書「北辰テスト 年間予定表」(2026年度・中3)、東京私立中学高等学校協会「知っておきたい入試のこと」、埼玉県「令和9年度埼玉県私立高等学校入試要項」、埼玉県教育委員会「令和9年度埼玉県公立高等学校入学者選抜」日程(いずれも公式)。個別相談会の日程は学校ごとに異なります。

定期テスト前2週間の過ごし方(目安)

東京の私立で基準になるのは内申です。つまり、2学期の定期テストが、北辰テストよりも大きな意味を持ちます。定期テストの2週間前からは、次の配分をめやすにしてください(当サイトの目安です)。

  • 平日:学校のワーク・プリントを2周。1日2〜3時間
  • 休日:苦手な1教科に3時間。残りの教科に各1時間
  • 前日:ワークで間違えた問題だけを解き直す

5科の合計で基準に1足りない、という場面はよくあります。1教科でも4を5に、3を4にできれば届くかもしれません。実技教科も9科の基準に入る学校があるので、提出物を落とさないことが大切です。

よくある誤解と正しい考え方

最後に、埼玉の保護者の方からよく聞く誤解を整理します。

誤解1:「北辰の偏差値が高ければ、東京の私立も確約が取れる」

東京の私学協会は偏差値による相談を行わないと明記しています。今回確認した東京の私立にも、北辰を使うという公式の記載はありませんでした。基準は内申が中心です。

誤解2:「東京の私立も、中学の先生が相談してくれる」

東京の中学生の場合はそうですが、埼玉の公立中学校の先生は入試相談を行いません。埼玉の中学生は、家庭が志望校に直接確認する必要があります。

誤解3:「基準を満たせば、当日の点数に関係なく合格」

協会は、併願優遇でも「当日のテストで合格ラインに届かなければ不合格」と説明しています。基準を満たしたあとも、過去問で当日の得点力をつけておく必要があります。

誤解4:「入試の名前が同じなら、どの学校も同じしくみ」

「B推薦」「併願優遇」といった言葉は、学校によって中身が違います。駒込のように住んでいる県で入試区分が変わる学校もあります。言葉ではなく、志望校の募集要項に書かれた正式な名前と条件で確認してください。塾や知り合いから聞いた話は、必ず学校の公式情報で確かめ直すのが安全です。

埼玉から東京の私立を受ける場合、情報は自分で取りに行かなければ集まりません。そして、同じ「併願」でも学校ごとに名前も日程も基準も違います。早めに動いた家庭ほど、12月に慌てずに済みます。

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まとめ

  • 東京私学協会は「偏差値を用いた相談は行いません」「確約や内定は行われません」と明記している
  • 今回確認した東京の私立6校の公式情報に、北辰テストで相談できるという記載はなかった
  • 東京の私立の基準は内申が中心。埼玉の中学生は「学習の記録等通知書」の内申点で見る学校もある
  • 埼玉生向けのルートは、1月22日以降の推薦(併願)か、2月10日以降の一般入試の併願優遇。学校ごとに違う
  • 埼玉の中学校の先生は入試相談を行わないので、家庭が志望校の個別相談で直接確認する
  • 12月までは2学期の定期テストを最優先し、個別相談で基準と手続きを確かめる
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