東京学芸大学附属高校の倍率は、年度によって上下します。ただ、受験生が本当に知りたいのは「倍率が何倍か」ではなく「自分は受かるのか」のはずです。この記事では、倍率の正しい読み方、繰り上げ合格の仕組み、そして内部進学(附属中学からの進学)との関係を整理します。数字そのものより、数字をどう戦略に変えるかに重点を置いています。
この記事でわかること
倍率の数字を、自分の戦略にどう落とし込むか
「実質倍率」と「応募倍率」の違いと、見るべきほう
繰り上げ合格(補欠合格)はいつ、どう連絡が来るのか
内部進学の枠が、外部受験にどう影響するか
倍率が高い年・低い年で、当日の戦い方をどう変えるか
📊 学芸大附属の倍率(学校が公表した数字)
一般入試(外部の中学生)の実際の数字です。実質倍率は「受験者数÷合格者数」で計算しています。
| 年度 | 志願者 | 受験者 | 合格者 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 1,472 | 1,365 | 406 | 約3.4倍 |
| 令和7年度 | 1,293 | 1,165 | 378 | 約3.1倍 |
| 令和6年度 | 1,176 | 1,023 | 274 | 約3.7倍 |
| 令和5年度 | 1,076 | 922 | 266 | 約3.5倍 |
| 令和4年度 | 919 | 825 | 240 | 約3.4倍 |
募集は120名程度ですが、合格者は240〜406名と、募集の2〜3倍以上が出ています。合格しても他の学校に進む人が多いためと考えられます(ここは推測です)。
附属中学からの内部進学(募集200名程度)
| 年度 | 受験者 | 合格者 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 令和8年度 | 248 | 200 | 約1.2倍 |
| 令和7年度 | 236 | 200 | 約1.2倍 |
| 令和6年度 | 244 | 202 | 約1.2倍 |
| 令和5年度 | 223 | 200 | 約1.1倍 |
| 令和4年度 | 262 | 202 | 約1.3倍 |
出典:東京学芸大学附属高等学校「入試選抜状況(令和8年2月15日現在)」。令和9年度の繰り上げ合格は、実施する場合2027年2月19日〜3月5日に、出願時に登録したメールアドレスへ連絡されます(令和9年度 生徒募集要項)。合格者の得点は内申・当日点と合格ボーダーの記事にまとめています。
まず押さえる:見るべきは「実質倍率」
倍率には2種類あります。ここを混同すると判断を誤ります。
| 名前 | 計算のしかた | 意味 |
|---|---|---|
| 応募倍率 | 出願した人数 ÷ 募集人員 | 出願した時点の数字。当日欠席する人が含まれています |
| 実質倍率 | 受験した人数 ÷ 合格者数 | 実際に何人に1人が受かったか。こちらが本当の競争率です |
学校が公表するのは応募倍率のことが多く、ニュースや掲示板でもこちらが出回ります。しかし受験生が意識すべきは実質倍率です。国立附属は併願で受ける層が一定数いるため、当日の欠席や、合格者数の調整で数字が変わります。
◎ 倍率を見るときのコツ
単年の数字で一喜一憂しないでください。過去3年ぶんを並べて、平均と幅を見るのが正解です。「今年は高い」と言われても、3年平均から大きく外れていなければ、対策を変える必要はありません。
倍率が高い年・低い年で、やることは変わるか
結論から言うと、勉強の中身は変えません。変えるのは併願の組み方だけです。
✕ やってはいけない:倍率を見て勉強法を変える
「今年は倍率が高いらしいから、難しい問題を増やそう」という判断は逆効果です。倍率が上がっても、入試問題は同じ。合格ラインが数点動くだけです。数点の差を生むのは、難問ではなく取りこぼしのない基礎です。
◎ やるべき:併願校の組み方を調整する
倍率が高そうな年は、確実に合格を取れる併願校を1校増やしておきます。精神的な余裕が当日の得点に直結します。学芸大附属の併願の組み方は、別記事で詳しく整理しています。
繰り上げ合格(補欠合格)の仕組み
国立附属高校では、合格者が他校へ進学したときに欠員が出ます。その欠員を埋めるのが繰り上げ合格です。
1いつ連絡が来るのか
合格発表の直後から、公立高校の入学手続き期間の前後まで幅があります。「もう終わった」と思った数日後に電話が来ることがあります。
2どう連絡が来るのか
電話が一般的です。だからこそ、受験が終わるまで、登録した電話番号には必ず出られるようにしておいてください。知らない番号だからと出ないでいると、次の人に回ってしまう可能性があります。
3順位は決まっているのか
繰り上げの順番は成績順です。ただし公表されないため、自分が何番目かは分かりません。期待して待つのではなく、進学先を決めたうえで「来たらラッキー」と構えておくのが精神衛生上いいです。
保護者の方へ・当日までにやっておくこと
出願時に登録した電話番号を、確実に出られる番号にしておく
合格発表後も、公立の手続きが終わるまでは番号を変えない
繰り上げの連絡は返答に時間の猶予がないことがあるため、家族で「来たらどうするか」を先に決めておく
内部進学(附属中学からの進学)と外部受験の関係
東京学芸大学附属高校には、附属の中学校(世田谷・小金井・竹早・国際中等教育学校など)から進学してくる生徒がいます。ここを誤解している方が多いので整理します。
| よくある誤解 | 実際は |
|---|---|
| 内部生がいるから、外部の枠はほとんどない | 外部募集の人員は毎年公表されています。その枠の中での競争なので、内部生の数は直接影響しません |
| 内部進学は無条件で上がれる | 内部進学にも試験があります。基準に届かなければ上がれません |
| 内部生のほうが学力が高い | 入学後の成績は入学経路では決まりません。外部から入って上位に入る生徒は毎年います |
◎ 外部受験生が意識すべきこと
内部生の人数を気にする意味はほとんどありません。公表されている外部募集人員に対して、自分が上位に入れるかどうかだけを考えてください。
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倍率に振り回されないための、9月からの進め方
倍率の情報が出るのは、多くの場合1月以降です。つまり、対策を組み立てる時期にはまだ分かりません。だからこそ、倍率とは無関係に動ける計画が必要です。
19〜10月:抜けている単元を潰す
この時期に過去問を解いても点は出ません。まず中1・中2の抜けを埋めます。数学なら関数と図形、英語なら文法の穴。ここを残したまま12月を迎えると、どれだけ演習しても伸びません。
211月:過去問を1年ぶん、時間を計って解く
点数を出すためではなく、時間配分と出題の癖を体で知るために解きます。この段階で合格点に届かなくても問題ありません。
312月:落とした問題を種類分けする
「知らなかった」「時間が足りなかった」「ケアレスミス」の3つに分けます。種類ごとに手の打ち方が違います。ここを分けずに解き直すのが、一番よくある失敗です。
41月:併願校の結果を見て、当日の戦い方を決める
併願で合格を1つ確保できていれば、当日は攻めた時間配分ができます。確保できていなければ、確実に取れる問題を拾う戦い方に切り替えます。ここで初めて倍率の情報が意味を持ちます。
12月までに終わらせておきたいこと
☑ 中1・中2の範囲で、解けない単元がゼロになっている
☑ 過去問を最低1年ぶん、時間を計って解いた
☑ 落とした問題を3種類に分けて、それぞれの対策を決めた
☑ 併願校を最低2校決めて、日程が重なっていないことを確認した
☑ 繰り上げ合格の連絡に出られる電話番号を確認した
よくある質問
Q. 倍率は毎年どれくらい変わりますか。
A. 年度によって上下します。最新の正確な数字は、必ず学校の公式サイトで発表される募集要項・入試結果をご確認ください。この記事では数字そのものではなく、読み方と使い方を扱っています。
Q. 倍率が高い年は、合格ラインも上がりますか。
A. 上がる傾向はありますが、動くのは数点です。基礎の取りこぼしを減らすほうが、倍率を気にするより確実に効きます。
Q. 繰り上げ合格の連絡は、何日まで待てばいいですか。
A. 公立高校の手続き期間の前後まで可能性があります。ただし待つ間も進学先の準備は進めてください。連絡が来なかった場合に動けなくなります。
Q. 内部進学の生徒が多い年は、外部が不利になりますか。
A. 外部募集人員は別枠で公表されます。その枠内での競争なので、直接不利にはなりません。
Q. いま偏差値が届いていません。間に合いますか。
A. 9月時点で5〜8ポイント足りない状態から合格した生徒は毎年います。ただし「何が足りないか」を正確に把握できている場合に限ります。やみくもに問題を増やすと、かえって遠回りになります。
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