難関大を本気で狙うなら、第一志望の過去問(赤本)は10月中に1年分を、時間を計って通しで解くのが目安です。全科目の基礎が仕上がるのを待つ必要はありません。始めるのは「合否を分ける1科目」からで十分です。
年明けからでは、出題形式に合わせて学習を修正する時間が残りません。2027年度の共通テストは2027年1月16日(土)・17日(日)、国公立大の前期日程は例年2月25日以降です。共通テスト後に使える期間は、実質5週間ほどしかありません。
- 「赤本は年明けから」で間に合わない3つの理由
- 志望校タイプ別の開始時期と、解くべき年数の目安
- 開始時期を決める3つの判断基準と、判断の期限
- 1年分を得点に変える「直し」の5ステップ
- 保護者と受験生がやってはいけないNG
「赤本は年明けから」で間に合わない3つの理由
「基礎が固まってから過去問」は一見正しく聞こえます。しかし難関大入試では、この順番を守った受験生ほど、直前期に打つ手がなくなります。理由は3つあります。
理由1 難関大の二次・個別試験は「形式への適応」が点差になる
難関大の記述問題は、知識量よりも「何をどこまで書けば点になるか」の判断で差がつきます。制限字数、解答用紙の大きさ、図示の要求、小問の誘導の付き方は大学ごとに癖があり、模試では再現されません。これは実物を解いて初めて見えるもので、後回しにするほど損をします。
理由2 弱点の発見から修復までに6〜8週間かかる
1年分を解くと、たいてい2〜3個の具体的な弱点が出ます。「英作文で文法ミスが減らない」「数学の記述で減点される」「古文の設問根拠を取り違える」といったものです。こうした弱点は演習を積み直す必要があり、修復には最低でも6〜8週間を見ておくべきです。10月に見つければ12月に間に合いますが、1月に見つけては入試本番と重なります。
理由3 共通テスト後に使える時間は実質5週間
共通テスト直前の3週間は、多くの受験生が共通テスト形式の演習に寄せます。つまり「二次対策に集中できるのは共通テスト後」と考えると、国公立前期までの約5週間しかありません。その5週間を「初めて赤本を開く期間」に使うのは、あまりに惜しい使い方です。
志望校タイプ別・赤本を始める時期の目安
| 志望校タイプ | 最初の1年分 | 本格演習の開始 |
|---|---|---|
| 難関国公立(東大・京大・旧帝大・医学部) | 9月下旬〜10月上旬 | 11月 |
| 上位・中堅国公立 | 10月中 | 11月下旬 |
| 難関私大(早慶上理・難関学部) | 10月〜11月上旬 | 12月 |
| 共通テスト利用が主軸 | 10月に共通テスト過去問を1年分 | 11月 |
※目安です。入試日程・配点・出題範囲は年度や大学・学部によって変わります。開始時期を決める前に、必ず志望校の最新の募集要項で配点比率と試験日を確認してください。
何年分解くべきか|「冊数」ではなく「使い切った年数」で数える
大学によっては10年分・25年分を収録したシリーズもありますが、多く解いた受験生が勝つわけではありません。同じ1年分を3回使い切った受験生のほうが伸びます。目安は次のとおりです。
| 受験校の位置づけ | 年数の目安 | 使い方 |
|---|---|---|
| 第一志望 | 5〜10年分 | 1年分ごとに直しまで完了させる |
| 併願の主力校 | 3〜5年分 | 形式と時間配分の確認が中心 |
| 安全圏の併願校 | 1〜2年分 | 形式に驚かないための確認だけ |
※科目数や入試方式によって必要量は変わります。特に私大は学部ごとに傾向が違うため、学部単位で数えてください。
10月に赤本を始めて伸びる子と、失速する子の違い
- 解いた点数ではなく「失点の理由」をノートに言葉で書いている
- 合格最低点との差を科目別に把握し、どこで何点取るか決めている
- 1年分につき、解く時間の2倍を直しに使っている
- 解けなかった分野だけを教材に戻って埋めている
- 点数に落ち込み、翌週から赤本を開かなくなる
- 解答を読んで「わかった」で終わり、書き直していない
- できなかったので基礎に全部戻り、過去問が11月まで止まる
- 赤本を何冊も買い、解かないまま机に積んでいる
開始時期を決める3つの判断基準と、判断の期限
全範囲を完璧にする必要はありません。英語・数学など配点の大きい科目で、教科書や基幹教材を一度通し終えているかだけを見ます。終わっていれば、その科目から赤本に入ります。終わっていない科目は、通しを優先して構いません。
共通テストの比重が大きい大学では、10月からいきなり二次の赤本を積むのは効率が悪いことがあります。配点比率を見て、どちらにどれだけ時間を割くかを先に決めてください。ここを飛ばすと、11月以降に必ず迷いが出ます。
1年分の演習には、解く時間の約2倍の直し時間が必要です。英語90分の試験なら、直しに3時間前後。この枠が週の予定に入らないなら、赤本を始めても点に変わりません。まず枠を作ることが先です。
判断の期限:10月31日までに第一志望の1年分を1回解き終える。11月中旬までに、残りの科目と併願校の赤本をいつ始めるかを紙に書いて確定させる。これが遅れると、12月以降の計画がすべて後ろにずれます。
1年分を得点に変える「直し」の5ステップ
- 時間を計り、通しで解く。途中で答えを見ない。試験時間と同じ時間帯に解けるとさらに良い。
- 自己採点し、合格最低点との差を科目別に出す。「英語で15点足りない」まで具体化する。
- 失点を4つに分類する。(1)知識が抜けている(2)時間が足りなかった(3)設問の要求を読み違えた(4)書き方で減点された。原因が違えば対策も違います。
- 分類ごとに、翌週の課題を1つずつ決める。「時間不足」なら大問ごとの制限時間を決めて演習、「書き方」なら模範解答を写して構造を分析する。
- 2週間後に同じ年度を解き直す。同じ失点が消えていれば前進、残っていれば対策の方向が間違っています。
保護者がやってはいけない3つのこと
- 点数だけを聞く。「何点だった?」より「どこで落とした?」。前者を繰り返すと、子どもは点が出る回だけ報告するようになります。
- 模試の判定と赤本の点を混同する。模試の判定は母集団に対する相対評価、赤本は志望校の問題との相性です。別の指標なので、合わせて落ち込む必要はありません。
- 「もっと解きなさい」と量を求める。10月に必要なのは量ではなく、1年分を使い切ることです。量を求めると直しが飛び、最も価値のある工程が消えます。
独学で最も難しいのは「自分の答案を採点できないこと」
赤本の直しで壁になるのは、記述答案の自己採点です。模範解答と自分の答案を見比べても、「この表現で点が来るのか」「ここまで書く必要があったのか」は、受験生本人には判断できません。ここを放置すると、10年分解いても書き方の減点が残り続けます。
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まとめ
- 難関大志望なら、第一志望の赤本は10月中に1年分。全科目そろうのを待たず、配点の大きい1科目から始める
- 弱点の修復には6〜8週間。共通テスト後に残るのは実質5週間しかない
- 年数は第一志望5〜10年分が目安。ただし「使い切った年数」で数える
- 1年分につき、解く時間の2倍を直しに使う。失点を4分類して翌週の課題に変える
- 10月31日までに1年分、11月中旬までに残りの計画を確定させる

