＜中学校の選び方＞国公立、私立、進学校・付属校をどう選ぶか

国公立中学校／国立に加え、公立の中高一貫校も

国立の中学校（中等教育学校ふくむ）は， 1都3県（東京・神奈川・千葉・埼玉）に12校あり，国立大学教育系学部・学群の付属校として設置されています。そのため大学の教育研究に協力し，学生たちの教育実習の場としても活用されています。国立校のなかには高校を併設しない中学もあります。また，国立大学進学の優遇措置はありませんが，それでも国立校の人気には根強いものがあります。それは，優秀な先生方によるレベルの高い授業研究されたカリキュラムなどにより，難関大学への進学率が高いことにあるようです。国立校ならではといえる学費の安さも魅力の一つでしょう。国立校の入試は一風変わっています。通学区域制限があり，だれでも希望する学校へ出願できるわけではありません。また，筆記試験のほかに，抽選を実施する学校もあります。
●併設高校のある国立中学校（中等教育学校）
お茶の水女子大附，筑波大附，筑波大附駒場，東京学芸大国際，東京学芸大小金井，東京学芸大世田谷，東京学芸大竹早，東京大附
●併設高校のない国立中学校
埼玉大附，千葉大附，横浜国立大附鎌倉，横浜国立大附横浜
●公立の中高一貫6年制学校
国立だけでなく，都立・県立などの公立の中高一貫6年制学校が続々とできています。東京では， 2005年に都立白鵜高校附属中学校が募集を開始したのを皮切りに，現在までに11校（都立10校と千代田区立九段中等教育学校）が開校しました。いずれも都内に住んでいれば受検できますが，九段中等教育学校は定員の半数を千代田区民限定の枠としてい
ます。ほかの県でも，神奈川県に5校（県立2校，横浜市立2校，川崎市立1校），千葉県に3校（県立2校，千葉市立1校），埼玉県に4校（県立1校， さいたま市立2校，川口市立1校），茨城県に13校（いずれも県立）が誕生しました。応募は，県立の学校は全県から可能ですが，市立の学校はそれぞれの市の居住者に限られます（横浜市立南高校附属中は市外からも受検可） 。気になる試験ですが国・算・社・理など複数の教科を融合させた「適性検査」が行われます（埼玉県立伊奈学園中学校のみ「作文」として実施） 。その内容は私立の一般的な入試問題とは大きく異なっており，スタイルも各校ごとに違いますので，志望校に応じた対策が必要となるでしょう。

私立中学校／各校独自の方針で学校運営

私立の特色はなんといってもバラエティーに富んだ個性にあるといえるでしょう。公立高校とは異なり，独自の教育方針•特色のもとに運営されています。公立のように教師の異動がないため，中学・高校の6年間を一貫した教育指導のもと，先生方との交流も親しみあるものとなります。

ほとんとの生徒が大学受験をめざしています。学校側も大学受験に焦点をしぼった独自のカリキュラムを組んでいます。中・高一貫教育の利点を生かし，無駄な重複をさけ，先取り指導を行います。高校2年までに6年分の課程を修了し， 3年では受験勉強を徹底します。また，英語・数学などの主要教科の授業時間数も公立高校に比べ， 1週間に1.5倍
以上の時間をかける学校もあります。

併設大学への進学が有利とあって，学生たちは伸びやかに学校生活を過ごす気風もあります。ただ併設大学への進学状況は，学校によってさまざまです。また付属校でありながら，他大学の受験にも力を入れている学校が，女子校を中心に増えてきました。女子の4年制大学への進学志向が強まるなか，併設の大学ではもの足りない場合，他大学を受験したいという思いは今後も強まるものと予想されます。