難関都立を志望するご家庭から最も多い相談が「内申があと2〜3足りない」です。ここで多くの受験生が主要5教科の点数を上げようとしますが、2学期に最も確実に伸ばせるのは実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)です。理由は単純で、東京都の換算内申では実技4教科の評定が2倍で計算されるからです。
この記事では、実技4教科の1点がどれだけ重いのかを数字で示したうえで、評価が何で決まるのか、2学期に具体的に何をすればよいのかを整理します。主要5教科の勉強時間を削らずに実行する方法まで扱います。
この記事でわかること
- 換算内申65点満点のしくみと、実技4教科の1点の重み
- 実技教科の評定が「実技の上手さ」だけで決まらない理由
- 音楽・美術・保健体育・技術家庭それぞれの具体的な動き方
- 2学期にやるべきこと/やってはいけないこと
- 主要5教科の時間を削らずに内申を上げる配分
1. 換算内申のしくみ|実技4教科は「2倍」で効く
東京都立高校の一般入試(2026年度時点)は、学力検査700点+調査書300点+ESAT-J 20点=1020点満点で判定されます。このうち調査書点のもとになるのが「換算内申」です。
換算内申(65点満点)の計算式
主要5教科の評定合計(最大25)
+ 実技4教科の評定合計 × 2(最大40)
満点65のうち、40点分が実技4教科です。つまり全体の約6割を実技教科が占めています。調査書点は「換算内申 ÷ 65 × 300」で300点満点に換算されるため、実技の評定1が動くと調査書点は約9.2点動きます。主要5教科の1は約4.6点ですから、ちょうど2倍の重みです。
| 評定を1上げたとき | 換算内申 | 調査書点(300点換算) |
|---|---|---|
| 数学・英語など主要5教科 | +1 | 約+4.6点 |
| 音楽・美術・保体・技家 | +2 | 約+9.2点 |
| 実技4教科すべてを1ずつ | +8 | 約+37点 |
※実技4教科すべてで評定を1上げれば、当日の学力検査で約37点分を先取りしたのと同じ計算になります。これは1教科あたり約7点、5教科で35点強を当日に上乗せするのと同等です。制度や配点は年度によって変更される可能性があるため、必ず東京都教育委員会の入学者選抜実施要綱で最新の内容をご確認ください。
内申全体のしくみは高校受験の内申点の上げ方、難関都立の内申と当日点のバランスは進学指導重点校に必要な内申と当日点で解説しています。
2. 実技教科の評定は「上手さ」では決まらない
「絵が下手だから美術は4止まり」と諦めているご家庭が多いのですが、これは誤解です。現在の評価は3つの観点で行われ、作品の完成度はその一部にすぎません。
1知識・技能
用語や理論、実技の基本動作の習得。実技教科にも必ず定期テストがあり、ここは主要教科と同じ勉強で点が取れます。暗記中心のため、投下時間に対する得点効率が非常に高い領域です。
2思考・判断・表現
なぜその表現・その方法を選んだのかを説明できるか。ワークシートや振り返りシートの記述量と具体性がそのまま評価に反映されます。
3主体的に学習に取り組む態度
提出物の期限厳守、授業への参加姿勢、記録の丁寧さ。最も対策しやすく、最も落としている生徒が多い観点です。
POINT 実技が苦手でも5は取れる
実技のパフォーマンスが平均的でも、定期テストで高得点+提出物を期限内に丁寧に+振り返りを具体的に書くの3点が揃えば、評定は十分に上がります。逆に、実技が得意でもテストを軽視し提出物が遅れる生徒は4止まりになります。
3. 教科別|2学期に何をするか
音楽
リコーダーや歌のテストは配点の一部にすぎません。作曲家・楽曲・記号・音楽史はペーパーテストで確実に取れる範囲です。鑑賞の感想は「どの部分がどう聞こえ、なぜそう感じたか」を音楽用語を使って書くと評価が上がります。
美術
作品は完成度より制作意図の説明が見られます。アイデアスケッチやワークシートを空欄なく埋め、なぜその構図・配色にしたかを言語化する。提出期限を守ることが前提条件です。
保健体育
運動が苦手でも、保健分野のペーパーテストは暗記で満点が狙えます。実技も記録より「準備・片付け・声かけ・ルールの理解」といった取り組みの姿勢が見られています。見学時のレポートも評価対象です。
技術・家庭
製作物の出来より計画書・工程の記録・レポートの質が大きく効きます。作業の写真や気づきを具体的に残すこと。テストは用語と手順の暗記で得点しやすい教科です。
4. 2学期にやってはいけない3つのこと
NG1 実技教科のテスト勉強を前日だけで済ませる
実技4教科は範囲が狭く暗記中心のため、1教科あたり合計2〜3時間で高得点域に届きます。前日にまとめてやるのではなく、テスト2週間前から1日15分を割り当てるほうが、主要5教科を圧迫せずに済みます。
NG2 提出物を「出せばいい」と考える
期限内提出は前提条件であって加点要素ではありません。空欄がない・振り返り欄に具体的な記述がある——この2点で差がつきます。1行で終わらせず、事実と自分の判断を分けて3行書く習慣をつけてください。
NG3 3学期に挽回しようとする
高校入試に使われるのは中3の2学期末(12月)の評定です。都県によって扱いは異なりますが、東京都の場合、実質的に2学期が最後のチャンスになります。9月から動くのと11月から動くのでは結果がまったく違います。
5. 主要5教科を削らずに内申を上げる時間配分
難関都立・難関国立を狙う受験生にとって、当日点の準備を止めるわけにはいきません。実技4教科は「テスト2週間前だけ、1日15〜20分」という枠で管理してください。
通常期(テスト2週間前まで) 実技教科に使う時間はゼロで構いません。ただし提出物だけは当日中に仕上げる。ここを溜めると後で大きな時間を奪われます。
テスト2週間前 1日20分、実技4教科を順番に回す。ノート・プリントの用語を確認するだけで十分です。
テスト3日前 主要5教科に集中。実技は前日に各20分の最終確認のみ。
テスト後 実技教科も解き直しをする。次回の出題形式が読めるようになり、以降の準備時間が半分になります(解き直しのやり方)。
中3秋の全体設計は高校受験・中3秋(9月〜12月)の学習計画にまとめています。夏の遅れが残っている場合は、夏期講習(追加コマ)で立て直してから2学期の内申対策に入る方法もあります。
6. 内申は「戦略」で動く。迷ったら第三者の目を
実技4教科の対策が難しいのは、勉強内容そのものではなく「どの教科にどれだけ手をかけるかの判断」にあります。今の評定と志望校の必要内申から逆算し、どこを4から5に上げるのが現実的かを決める。この見立てを誤ると、努力が点数に変わりません。
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まとめ
- 東京都の換算内申65点のうち40点が実技4教科。評定1の重みは主要5教科の2倍。
- 実技4教科すべてを1ずつ上げれば、調査書点は約37点動く。
- 評定は実技の上手さではなく、定期テスト・提出物・振り返りの記述で決まる。
- やるのは「テスト2週間前から1日20分」。通常期は提出物を溜めないことだけ。
- 東京都では中3の2学期が実質最後のチャンス。9月から動く。
当日点を1点上げるより、実技の評定を1上げるほうが早い場面は確実にあります。努力の量ではなく、配分で差がつくのが2学期です。
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