小論文は、才能や文章のセンスで書くものではありません。型があり、その型に沿って書けば必ず形になります。この記事では、原稿用紙を前にして手が止まってしまう人のために、書き出しから結論まで、そのまま真似できる手順を示します。推薦入試・総合型選抜・都立高校の推薦入試のいずれにも使えます。
・小論文と作文の決定的な違い
・4段構成のテンプレート(そのまま使えます)
・設問を読んでから書き始めるまでの5ステップ
・評価される答案と、落ちる答案の具体例
・時間配分と、字数の埋め方
まず前提:小論文と作文は別物です
ここを取り違えたまま書いている人が非常に多いです。
| 作文 | 小論文 | |
|---|---|---|
| 書くもの | 自分の体験と感想 | 意見と、その根拠 |
| 求められること | 素直さ・表現力 | 論理の一貫性 |
| 「思いました」 | 使ってよい | 使わない |
| 結論の位置 | 最後 | 最初に書く |
| 評価される答案 | 心が動いた体験 | 反対意見にも触れている |
「私は〜と思いました。なぜなら感動したからです」という書き方。小論文で問われているのは感想ではなく、主張と根拠です。「思います」を「考える」に変えるだけでも印象が変わります。
「問いに対して、自分の立場を示し、根拠を挙げて説明する文章」。これだけです。うまく書く必要はありません。ずれずに書くことが求められています。
4段構成のテンプレート
迷ったら、この型で書いてください。800字なら、次の配分になります。
「私は〜と考える。」で始めます。設問に対する自分の立場を、最初にはっきり書きます。ここで曖昧にすると、最後まで曖昧なままになります。
「なぜなら〜だからである。」。根拠を1つか2つ挙げます。数字や具体例があれば強くなります。理由を3つ以上並べると、1つずつが薄くなるので避けてください。
「確かに〜という見方もある。しかし〜」。ここが最も差がつく部分です。反対意見に一度触れてから、それでも自分の立場が成り立つ理由を書きます。これがあるだけで評価が変わります。
「以上より、私は〜と考える。」。第1段落と同じ主張を、少し表現を変えて繰り返します。新しい話題をここで出さないでください。
反論に触れられる人は、「その問題を多面的に見ている」と評価されます。逆に自分の主張だけを繰り返す答案は、視野が狭いと判断されます。字数が足りないときも、ここを厚くするのが最も自然です。
書き始めるまでの5ステップ
いきなり書き出すと、途中で必ず行き詰まります。60分の試験なら、最初の15分は書かずに考えてください。
「〜について、あなたの考えを述べよ」なのか「〜の問題点を指摘し、解決策を述べよ」なのか。後者なら、問題点と解決策の両方を書かないと0点に近づきます。
字数、段落数の指定、課題文の引用の要否。字数は8割を下回ると大幅に減点されます。800字なら最低640字、できれば720字以上。
賛成か反対か、あるいはどちらの解決策を選ぶか。ここで迷い続けるのが最大の時間の無駄です。書きやすいほうを選んで構いません。正解はありません。
キーワードだけで十分です。「経済的な負担」「本人の選択肢が減る」のように、単語で書き出します。ここで具体例も一緒にメモします。
「①150 ②300 ③250 ④100」のように。これを書いてから始めると、字数不足で慌てることがなくなります。
考えがまとまらないまま書き始めること。途中で立場が変わった答案は、最も評価が低くなります。15分考えて45分で書くほうが、60分書き続けるより良い答案になります。
評価される答案と、落ちる答案
同じテーマで、実際にどう違うのかを示します。設問は「高校生のアルバイトについて、あなたの考えを述べよ」とします。
「私は高校生のアルバイトについて、良いと思います。なぜなら、お金を稼ぐのは大変だと分かるからです。私も将来アルバイトをしてみたいと思いました。」
問題点:①「思います」で終わっている ②根拠が主観だけ ③最後が感想になっている
「私は、高校生のアルバイトは条件つきで認められるべきだと考える。ここでの条件とは、学業に支障が出ない時間数に限ることである。」
良い点:①立場が明確 ②条件を自分で定義している ③この後の展開が予測できる
違いは文章力ではありません。「何を書くか」を決めてから書き始めたかどうかです。
第3段落(反論への配慮)の書き方の例
ここが最も書きにくい部分なので、型を示します。
「確かに、〜という指摘がある。実際に〜という側面は否定できない。しかし、〜を考えれば、〜のほうが重要である。」
この3文を骨組みにして、間に具体例を入れれば200字は埋まります。
字数が足りないときの埋め方
「あと100字が書けない」という相談は非常に多いです。次の順で足してください。
最も自然です。「例えば〜の場合」と書き出して、40〜60字の例を加えます。
第3段落に、もう1つ別の視点を足します。「また、〜という懸念もある」と続けます。
「アルバイトを認めるべきだ」の「アルバイト」とは何か。週何時間までか、どんな職種かを定義すると、それだけで50字ほど増え、内容も精密になります。
同じ内容を言い換えて繰り返すこと。採点者にはすぐ分かります。「つまり」「言い換えれば」が3回以上出てきたら、水増ししている合図です。
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原稿用紙の使い方と、減点されないための注意
「思います」→「考える」/「〜だと思う」→「〜だといえる」/「すごく」→「非常に」/「なので」→「したがって」/「でも」→「しかし」
時間配分(60分・800字の場合)
| 時間 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 0〜2分 | 設問を2回読む | 問われていることに線を引く |
| 2〜3分 | 条件を確認 | 字数・段落指定・引用の要否 |
| 3〜6分 | 立場を1文で決める | 迷わない。書きやすいほうでよい |
| 6〜13分 | 理由と具体例をメモ | 余白にキーワードだけ |
| 13〜15分 | 段落ごとの字数を書く | ここを飛ばさない |
| 15〜50分 | 書く | 途中で立場を変えない |
| 50〜60分 | 読み返す | 誤字・文末・字数を確認 |
最後の10分は必ず残してください。誤字と文末の統一だけで、印象がはっきり変わります。
練習の進め方
小論文は、書いた数ではなく直した数で上達します。
できなくて構いません。現状を知ることが目的です。
自分では、論理が飛んでいることに気づけません。先生でも保護者でも構わないので、他人に読んでもらってください。
ここが最も効きます。新しいテーマを書くより、同じテーマを直すほうが上達します。
志望学部に関連するテーマ(教育学部なら教育格差、医療系なら地域医療など)は、あらかじめ新聞やニュースで背景を知っておきます。知識がないテーマは、型があっても書けません。
これで十分に形になります。毎日書く必要はありません。直す時間のほうが大切です。
よくある質問
まとめ
小論文は、型を知っているかどうかだけで大きく差がつく分野です。まずはこの記事の4段構成で1本、時間を計って書いてみてください。
エスペランサアカデミー編集部(中学・高校・大学受験専門のオンライン家庭教師)。採用率10%以下・指導経験5年以上のプロ講師のみが在籍し、渋幕・海城・早慶をはじめとする難関校への合格指導を行っています。本記事は、実際にご家庭からいただくご相談内容をもとに作成しています。
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