公立中高一貫校の適性検査は、秋から「作文を書く量」を増やしても点は伸びません。9月以降に伸ばせるのは資料を正確に読み取る力と設問の条件どおりに答え切る力、そして時間配分の3つです。私立の併願を入れるかどうかは、出願直前ではなく11月中旬までに決めてください。
公立中高一貫校を志望するご家庭から、秋になると必ず届く相談があります。「作文は毎週書かせているのに、模試の点が上がらない」「過去問の点数が合格ラインに届かない。今から私立に切り替えるべきか」。
適性検査は私立中入試とは評価の設計がまったく違います。同じ対策のやり方では、努力の量が点数に変わりません。この記事では、小6の9月から本番までに何を優先すべきか、そして併願をどう判断すべきかを、判断の期限までセットで整理します。
- 適性検査で秋から伸びる力と、もう伸びにくい力の違い
- 過去問・模試の結果を「点数」以外で読む方法
- 9月からの優先順位を決める3つの基準と、月ごとの期限
- 私立を併願するかどうかの判断基準と、決める締め切り
- 報告書(小5・小6の評定)との現実的な向き合い方
適性検査は「作文の練習量」では伸びない3つの理由
適性検査対策というと作文が思い浮かびますが、秋にそこへ時間を集中させるのは、多くの場合いちばん効率の悪い選び方です。
理由1:得点源の中心は「作文の上手さ」ではなく「条件処理」
適性検査の答案は、設問に書かれた条件をどれだけ満たしたかで評価されます。「三段落構成で」「資料の数値を2つ以上使って」「自分の体験を入れて」といった指定を1つ落とすだけで、内容が良くても減点されます。表現力より先に、条件を読み落とさない習慣を作るほうが点は動きます。
理由2:教科横断型なので、算数・理科の土台が抜けると読めても答えられない
適性検査は教科の枠を超えた総合問題として出題されます。割合・速さ・単位量あたりの大きさ、グラフの読み取り、表の比較。これらが不安定なままだと、文章を理解していても数値の処理で止まります。作文より先に、算数の基礎計算と資料処理を戻すべき子は少なくありません。
理由3:「書き切れない」の原因は、書く速さではなく方針決定の遅さ
時間が足りない子の大半は、手が遅いのではありません。何を書くか決めるのに5分以上かけています。ここは訓練で必ず縮みます。資料を見て30秒で方針を決め、すぐ書き出す。この1点だけで、最後まで書き切れる子に変わるケースがあります。
秋から伸びる子と、失速する子の違い
- 答案を書いたあと、設問の条件と照合して自分で採点している
- 過去問を時間どおりに解き、途中で止めない
- 間違いを「読み取りミス」「計算ミス」「条件落ち」に分けて記録している
- 志望校の適性検査の形式(何分・何問・記述量)を本人が言える
- 作文を書いて提出するだけで、直しをしていない
- 過去問を時間無制限で解き、点数だけ見て一喜一憂している
- 解き直しが「もう一度読む」で終わっている
- 複数校の過去問に手を広げ、志望校の形式に慣れていない
9月からの優先順位を決める3つの基準
直近の模試・過去問で、資料の読み取りや数値処理での失点が全体の3割を超えているなら、そこが最優先です。作文は型が身につけば短期間で安定しますが、算数の土台は積み上げに時間がかかります。順番を逆にすると間に合いません。
1回分を解いたら、設問の指定を何個落としたかを数えてください。点数は本番の採点基準がわからない以上、参考値にしかなりません。条件落ちの数は客観的に数えられ、しかも直せば確実に点になります。過去問で合格者平均に届かないときの判断ラインも合わせて確認しておくと、秋の焦りを持ち越さずに済みます。
多くの公立中高一貫校で、報告書は小5・小6の2年間が対象です(学校によっては小4からを対象とする例もあります)。つまり9月の時点で、大半はすでに確定しています。ここで悩み続けるより、当日の検査で必要な得点を逆算するほうが建設的です。ただし6年生2学期の評定はまだ残っています。提出物と授業態度は、最後まで落とさないでください。
※報告書の対象学年・評価方法・配点比率は、自治体や学校ごとに異なります。必ず志望校の募集要項で確認してください。
判断の期限|いつまでに何を決めるか
| 時期 | 決めること・やること |
|---|---|
| 9月末 | 志望校の過去問を1年分、時間どおりに実施。弱点を「読み取り・計算・条件落ち」に分類する |
| 10月末 | 算数・資料系の土台を戻し切る。ここから作文の比重を上げる |
| 11月中旬 | 私立を併願するかどうかを最終決定する(12月以降に増やすと両方が中途半端になります) |
| 12月末 | 志望校の過去問を通しで解ける状態に。新しい教材は増やさない |
| 1月 | 出願書類の提出と体調管理。学習は既習の反復のみに絞る |
※東京都立の中等教育学校・中学校の2027年度一般枠募集は、検査日が2027年2月3日(水)、合格発表が2月9日(火)と公表されています。他の自治体は日程が異なりますので、募集要項で必ずご確認ください。
私立を併願するべきか|判断の分かれ目
公立中高一貫校は募集人数に対して志願者が多く、合否が読みにくい入試です。だからこそ併願の判断は、感情ではなく条件で決めます。
- 私立中学への進学もご家庭として前向きに検討できる
- 4教科型の学力がある程度あり、追加負担が大きくない
- 適性検査型入試を実施する私立があり、対策がほぼ共通している
- 不合格なら地元の公立中に進む方針が、家庭内で固まっている
- 4教科の学習をゼロから積む必要があり、適性検査の時間が削られる
- 本人が「ここに行きたい」と言い切れており、迷いが集中を乱す
どちらを選んでも構いません。まずいのは、11月・12月になっても決め切れず、適性検査対策と4教科対策のどちらも薄くなることです。11月中旬を締め切りにして、その日に決めると家族で共有しておいてください。
今日からできる4つの行動
保護者がやってはいけない3つのこと
- 作文に赤を入れすぎる……指摘が10個を超えると、子どもは書くこと自体を避けます。1回につき直すのは2点までにしてください。
- 過去問の点数で一喜一憂する……適性検査は採点基準が公開されない部分が多く、自己採点の点数は本番の得点と一致しません。見るべきは条件落ちの数です。
- 秋に教材を増やす……新しい問題集は、できないことを増やすだけです。志望校の過去問と、すでに使っている教材の反復に絞ってください。
一人で仕上げ切るのが難しいと感じたら
適性検査対策のいちばん難しいところは、答案を正しく評価できる大人が必要だという点です。作文と記述は、書いた本人にも保護者にも、どこで減点されるのかが見えません。市販の解答例と見比べても、自分の答案が何点なのかは判断がつきません。
エスペランサアカデミーは、完全オンライン・全国対応のプロ家庭教師センターです。1対1で、お子さま一人ひとりの答案を読み、どの条件を落としているのか、どの単元の土台が抜けているのかを特定したうえで、残りの月数から逆算した計画を組み立てます。対象は小学3年生から高校3年生まで、中学受験・高校受験・大学受験に対応しています。
「この答案は合格ラインに届いているのか」を客観的に判断できる状態になると、秋以降の勉強は驚くほど落ち着きます。
初回の体験授業は無料です。現在の答案や過去問の結果をもとに、本番までに何を優先すべきかをお伝えします。しつこい勧誘はいたしません。
まとめ
- 秋から伸びるのは、資料の読み取り・条件処理・時間配分の3つ
- 作文の量を増やす前に、算数と資料処理の土台を戻す
- 過去問は点数でなく、落とした条件の数で評価する
- 報告書は確定分が多い。当日点から逆算して計画を立てる
- 私立併願の可否は11月中旬までに決め、家族で共有する
残り約5か月。やることを絞り切れたご家庭から、着実に仕上がっていきます。


